ADZYNMA 先天性血栓性血小板減少性紫斑病のADAMTS13欠乏症治療薬として欧州委員会が承認  武田薬品

 武田薬品は8日、ADZYNMA (遺伝子組換えADAMTS13)について、欧州委員会(EC)が先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人ADAMTS13欠乏症治療薬として承認したと発表した。ADZYNMAは、cTTPの治療を適応とした欧州連合(EU)で初めてかつ唯一の酵素補充療法となる。同承認は、希少疾病用医薬品指定の確認を含むものであり、本年5月31日に同社が発表したCommittee for Medicinal Products for Human Use(CHMP)の肯定的見解に基づくもの。
 cTTPは、ADAMTS13酵素の欠乏によって生じる超希少かつ慢性の血液凝固障害である。急性イベントや消耗性の慢性症状からなるTTP症状を伴い、これらには血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、腎症状、脳卒中、腹痛などが含まれる。未治療のまま経過すると、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の急性イベントの死亡率は90%を超える。
 今回のECの承認は、cTTPを対象とした初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバーP3試験(NCT03393975)から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの中間解析を含む包括的エビデンスおよび継続試験の安全性および有効性データに基づいている。同試験データは、本年5月にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。
 P3試験では、登録時のレジメンに基づき、登録後Month 1からMonth 6(第1期)までADZYNMA 40 IU/kg の静脈内投与または血漿製剤投与を隔週または週1回行い、Month7からMonth12(第2期)まで治療薬を切り替えて、Month13からMonth18(第3期)まではすべての患者にADZYNMAを投与した。
 ADZYNMAの定期補充療法中に急性TTPイベントを発現した患者はいなかっった(n=45)が、血漿製剤投与患者に急性TTPイベントが1例認められた(n=46)。
 対照比較第1期および第2期では、ADZYNMA投与患者で亜急性TTPイベントが1例報告されたのに対し、血漿製剤投与患者6例で亜急性TTPイベントが7件報告された。継続期間(第3期)における有効性の結果(急性および亜急性TTPイベントの発現率)は、第1期および第2期の結果と一致していた。
 安全性プロファイルでは、血漿製剤と比較して良好な成績を示した。主な有害事象(発現率10%超)は、頭痛、下痢、浮動性めまい、上気道感染、悪心及び片頭痛であった。武田薬品は、遺伝子組換えADAMTS13に関して現在進行中のP2b試験(NCT05714969)で、後天性TTPである免疫介在性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)の成人患者を対象として研究を行っている。なお、同承認による武田薬品の2025年3月期(2024年度)通期の連結業績予想に変更はない。 

◆リカルド・マレック武田薬品欧州・カナダビジネスユニットプレジデントのコメント
 cTTPの科学的発見から一世紀が経過しても、生命を脅かす急性イベントおよび消耗性の慢性症状に直面し続け、治療選択肢が限られているcTTP患者さんには、依然として重大なアンメットニーズが存在している。今回の承認は、ADAMTS13欠乏という疾患の根本原因に対処することを効能効果とした初めての治療薬となる。
 希少血液疾患における70年にわたるイノベーションの歴史を基盤に、EUでcTTP患者さんにADZYNMAを提供できることを誇りに思い、アンメットニーズの高い希少疾患患者さんに革新的な医薬品をお届けすることに引き続き取り組んでいく。

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