塩野義製薬は25日、抗HIV 治療における経口2剤レジメン「Dovato」と、抗HIV 予防における長時間作用型製剤「Apretude(カボテグラビル)」についての有用性と安全性の新たなデータをヴィーブ社が第25回国際エイズ学会で発表することを明らかにした。
Dovato(ドルテグラビル/ラミブジン)については、HIV-1の維持療法においてDovatoと3剤併用療法のBiktarvy(ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル)の有効性と安全性を直接比較したPASO DOBLE試験の結果が発表される。
PASO DOBLE試験は、ウイルス抑制されたHIV感染者の治療をDovatoまたはBiktarvyに切り替え、主要評価項目として、48週間の服用後のウイルス量の抑制を評価したもの。また、主要な副次評価項目として体重の変化を評価している。
その結果、Dovato 群は48 週間後のウイルス量の抑制効果に関して、Biktarvy群に対して非劣勢を示し、主要評価項目を達成した。また、治療開始後48週目までに、Biktarvy群では1人のウイルス学的失敗が確認されたが、Dovato群では確認されなかった。
主要な副次評価項目である体重の変化では、Dovato群はBiktarvy群と比較して体重増加の副作用が統計学的に有意に少ないことが確認された。
HIV治療において、体重の増加は重要なトピックであり、患者のQOLに大きな影響を与える。同試験においてDovatoは、ウイルス抑制効果のみならず体重への影響という観点からも、HIV患者に対する有望な治療選択肢となることが示された。
Apretudeについては、同剤の安全性と有効性を評価するP3試験(HPTN 084試験)結果が発表される。同発表は、HPTN 084試験参加者を対象に、Apretudeを継続的に提供することで、48週間のフォローアップを実施したHPTN 084オープンラベルパートの結果となる。
HPTN084試験において、ApretudeがHIV予防の標準薬である経口剤のTruvada(エムトリシタビン/テノホビル)と比較して、有意に優れたHIV予防効果を示すことが確認されており、HPTN 084オープンラベルパートは、長期間にわたるApretudeの安全性と有効性のデータを収集することを目的に実施された。
Apretudeの妊婦および妊娠への影響は、Truvada群と同等であることが示された。妊娠中にApretudeを使用したグループで有害事象発生率は100人/年あたり45.7%、妊娠前に使用したグループで47.1%、使用しなかったグループで37.5%であった。また、妊娠中にHIVに感染した女性はいなかった。
妊娠後期および産後早期は、ホルモンの変化によりHIV感染のリスクが高まることが知られており、安全に使用できる予防薬が求められている。同試験の結果、Apretudeは、妊婦および妊娠する可能性のある女性に対しても、有望な予防選択肢であることが示された。
なお、同件が2025年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。