がんの新たな治療法開発に向けて共同研究 住友ゴムと大阪大学

 住友ゴムは19日、大阪大学大学院医学系研究科の山本浩文教授らの研究グループと、がんの新たな治療法の開発を目指す共同研究を推進すると発表した。 同社が開発した特定のがん細胞を血中から吸着する特殊ポリマーを採用した「がん細胞吸着キット」を活用することで、がん細胞を活性化するメカニズムを明らかにする。この研究により、がんの症例に合わせたより適切な治療方法の選択が可能になるとともに、がん新薬の開発や将来的にはがん根治に向けた研究を加速させていく。
 世界的にがん患者数とその死亡者数は増加しており、がんの新たな治療技術の確立は大きな社会課題となっている。こうした環境の中で住友ゴムは新たながん治療技術の開発に貢献すべく、独自の高分子ポリマー技術を応用することで、血液から特定のがん細胞やタンパク質のみを吸着させる特殊ポリマーに関する研究を各専門機関と共同で進めてきた。
 現在、山本浩文教授らの研究グループと同社が開発した「がん細胞吸着キット」を活用し、がん細胞を活性化するメカニズムを明らかにする共同研究を進めている。この研究にはがん細胞の活動を規定する分子相関係数と人工知能を駆使した最新の解析モデルを導入している。

「がん細胞吸着キット」のイメージ
 

 がんに罹患すると血液中に血中循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)が発生する。現在は、この特定のがん細胞を分析することで治療方法の選択等の研究が行われている。ただ、がん細胞は血中にごく僅かしか存在しないため、従来の血液を遠心分離する方法では原因となる特定のがん細胞と血液細胞を完全に分離することが難しく、より精度の高い治療方法の選択に限界があった。
 今回、住友ゴムが開発したがん細胞吸着キットに使用する独自の特殊ポリマーは、中間水の働きで特殊ポリマーの硬さを制御することで特定のがん細胞のみを吸着させる。また、取り出したがん細胞の長期培養も可能となりつつあり、より多くのがん細胞を回収できる。対象疾患もこれまでの大腸がん、肝細胞がん、膵がんから前立腺がんや乳がんにも拡大していく。
 CTCの研究を通じて、がん細胞の増殖や転移を促進する細胞内のメカニズムであるがん活性化シグナルを明らかにし、より多くの患者に、そのシグナルを阻害する分子標的治療薬の投与に結びつける。
 さらに、培養したがん細胞の利用によって新薬開発の可能性が広がり、山本教授らの研究グループが進める将来的にがん根治を目指す「ムーンショット計画」の共同研究を加速させていく。

大阪大学大学院医学系研究科の「ムーンショット計画」のイメージ

 住友ゴムは、企業理念体系である「Our Philosophy」で定めた「Purpose」である「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」を実践し、先進的ながん治療方法に関する研究を推進することでがんを根治できる未来に向けたさらなる医療技術の発展に貢献していく。

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