CT検査画像を複合現実で観察できるトレーニングシステム「MR Anatomy」提供開始 日本メドトロニック

 日本メドトロニックは、同社とキヤノン、キヤノンITS、ザイオソフトの4社が連携し、コンピューター断層撮影装置(CT)で撮影した肺の構造を複合現実(Mixed Reality、MR)で観察できる医療従事者向けのトレーニングシステム「MR Anatomy」の提供を7月上旬より開始する。

 外科医が安全で正確な手術を行うためには、臓器の構造を立体的に把握することが重要であるが、その習得は容易ではなく、数年を要するとも言われている。
 特に、肺がん手術では、区域切除と呼ばれる、より小さく腫瘍を取り除く手技が増加しており、それに伴い更なる精緻な肺の構造の理解が外科医に求められている。
 近年では、3次元医用画像処理システムで3D画像を制作し、平面のPCモニター上で観察をしているがが、実寸大ではなく、かつ立体視できないため3Dの利点を生かしきれなかった。特に、医学生や若手外科医にとっては、平面のPCモニター上で、短期間で立体的な構造を理解するのは容易ではない。
 こうした中、低侵襲な肺切除術に使用されるステープラーやシーリングデバイスなどの高度な技術を提供してきたメドトロニックは、これまで60年に渡り外科医の声に耳を傾け、その声を製品、サービス、ソリューションに反映し続けてきた。
 医療現場での課題に対し、キヤノン・キヤノンITSが共有するMRに関する知見と技術、ザイオソフトの持つ2DのCT画像をリアルな3D画像に再構成する技術を組み合わせることで、MRによる高精細な解剖観察が可能になった。
 「MR Anatomy」は、現実世界に高精細な実寸大の肺の3D画像を表示し、臓器や血管、病変の位置関係など、解剖学的構造の理解を深めることで、医療現場の教育・トレーニングの質の向上を目指す。
 メドトロニックが4社合同での開発の実現をリードし、同システムの販売を担う。現場の声と技術をつないだ同システムの提供により、医療従事者、患者を含む、医療全体の発展に貢献していく。「MR Anatomy」の特徴及びサービスの詳細は次の通り。

【「MR Anatomy」の特徴】

◆高精細な3D画像での観察により肺の立体的な構造の理解を促進
 ザイオソフトの3次元医用画像処理システム等により出力された3Dデータ化した肺のCT画像を、キヤノンのMRシステムで現実空間に実寸大の3D画像で表示する。2D画像では把握することが難しかった、症例ごとに異なる病変の位置や血管の走行、臓器の大きさなど、肺の解剖学的構造を実寸大で立体的に理解が可能である。
 トレーニングでありながら実際の検査画像を使用することで、さらに理解を深めることができる。同システムの活用により、長年の経験で培われる肺の立体的な構造の理解を促進し、医学生や若手外科医をはじめとする医療従事者の教育・トレーニングの質の向上に貢献する。

◆簡単準備と直感的な操作により手軽な使用が可能

 3Dデータ化した肺のCT画像を、専用アプリケーションを用いてPCでドラッグ&ドロップするだけでセットアップが完了し、すぐに観察を開始できる。さらに、表示した肺の3D画像は、体験者の手で拡大・縮小や回転させることができ、直感的な操作が可能である。

【サービスの詳細】

◆名称:MR Anatomy

◆料金:月額使用料25万円(税抜)

◆利用方法:ノート型PCの専用アプリケーションに(CT画像をもとにした)3D画像を取り込み、キヤノンのMR用ヘッドマウントディスプレイ「MREAL X1」を通じて、3D画像の肺のモデルを観察する。なお、クラウドへのデータのアップロードの必要ない。

 なお、同システムは、教育・トレーニング用途のシステムであり、医療機器ではない。疾病の診断・治療・予防等に用いることはできない。

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