田辺三菱製薬は17日、欧州における選択的抗トロンビン剤「アルガトロバン」事業をEthypharm (本社:フランス) に譲渡する契約を6月13日に締結したと発表した。
「アルガトロバン」事業のEthypharmへの譲渡は、田辺三菱製薬が欧州事業としてALS治療薬「ラジカヴァ」(一般名:エダラボン)に注力する方針のもとに踏み切ったもの。
アルガトロバンは、田辺三菱製薬が創製した選択的抗トロンビン剤で、国内では「ノバスタン」の名称で販売している。
欧州では、2004年にスウェーデンで承認されて以来、ドイツ、英国、フランス、スペイン、イタリアなど13カ国で「ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型」の治療薬として販売されている。
「ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型」は、致死性の血栓塞栓症を合併するおそれがある重篤な疾患である。アルガトロバンは血中消失半減期が短く、また、肝臓で代謝されるため、手術前後の患者、腎臓病の患者でHIT II型を発症した患者に適した抗凝固剤だ。
欧州におけるアルガトロバン事業は、田辺三菱製薬の子会社であるミツビシ タナベ ファーマ ヨーロッパ(MTPE、所在地:英国 ロンドン)およびMTPEの子会社であるミツビシ タナベ ファーマ ゲーエムベーハー(MTPD、所在地:ドイツ デュッセルドルフ)が英国およびドイツ等におけるアルガトロバンの販売を実施し、その他の欧州各国には提携先を通じて販売してきた。
Ethypharmは、中枢神経系(CNS)疾患領域や注射剤に強みがあり、田辺三菱製薬の欧州アルガトロバン事業の承継によって医薬品事業のさらなる強化をめざすとともに、アルガトロバンの提供を通じて欧州各国の医療ニーズに貢献していく。
田辺三菱製薬は、MTPEおよびMTPDを通じてラジカヴァを含む医薬品を提供することで、今後も欧州の患者に貢献していく。