武田薬品は17日、Ascentage Pharmaと同社が開発した第三世代BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)olverembatinibの全世界での独占的ライセンスを獲得するためのオプション契約を締結したと発表した。
olverembatinibは、慢性骨髄性白血病(CML)およびその他の血液がんを対象に現在開発が進められており、ベスト・イン・クラスとなりうる経口の第三世代BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬である。
同契約に基づき、Ascentage Pharmaは、独占的ライセンスオプション契約締結時に1億ドルのオプション料を受領する。武田薬品がolverembatinibのライセンスオプションを行使した場合には、オプション行使料およびマイルストンに応じた支払いならびにロイヤルティが追加で支払われる可能性がある。オプションの行使には通常、規制当局の承認が必要となる。さらに、Ascentage Pharmaは、武田薬品からマイノリティ出資を受ける。
武田薬品がオプションを行使すれば、中国本土、香港、マカオ、台湾およびロシア以外の全地域で、olverembatinibの開発および商業化に関する全世界的な権利を有することになる。
これまでTKIがCMLの患者の治療に大きな影響をもたらしてきたにも関わらず、これらの治療に抵抗性もしくは難治性を示す患者、あるいはこれらの治療後に治療困難な変異が発現する患者のアンメットニーズは依然として大きいままだ。
同契約の一環として、Ascentage Pharmaは引き続き、ライセンスオプション行使前のolverembatinibの臨床開発すべてに単独で責任を負う。なお、olverembatinibは現在、TKI抵抗性の慢性期CML(CP-CML)またはT315I変異を有する移行期CML(AP-CML)の成人患者、および第一世代および第二世代TKIに抵抗性および/または不耐容を示すCP-CML成人患者の治療薬として、中国で承認・販売されている。
◆テレサ・ビテッティ武田薬品グローバル オンコロジー ビジネス ユニットプレジデントのコメント
当社には、患者さん、とりわけ治療ギャップに悩まされている血液がんの患者さんのために重要な治療の進歩をもたらしてきた長い歴史がある。
これまでにolverembatinibが臨床で実証してきた有望な結果に、私たちは非常に勇気づけられている。さらに、慢性骨髄性白血病やその他の血液がんの患者さんのために、今後さらなる開発を進め、olverembatinibを提供する機会を得ることができたことを非常に嬉しく思う。
今回の契約は、患者さんに最大限に貢献する社内外のイノベーションの発展を支えるという私たちの目的にかなっている。
◆Dajun Yang Ascentage Pharma会長兼CEOのコメント
私たちは、武田薬品との契約締結を大変嬉しく思っている。この契約により、堅固な実績とオンコロジー領域において世界的に影響力のある武田薬品のグローバルな商業的専門知識を活用することができるようになり、世界中のolverembatinibを必要としている患者さんに本薬がもたらす影響を大きく広げられる可能性がある。
私たちは中国でCMLの患者さんにolverembatinibがもたらす効果を目の当たりにしてきた。さらに、T315I変異の有無にかかわらず、前治療歴のあるCP-CMLの成人患者さんを対象とし全世界で被験者登録を行うP3試験であるPOLARIS-2試験において olverembatinibの開発を進められることを楽しみにしている。