MSDは、抗PD-1抗体キイトルーダとトラスツズマブ、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法について、HER2陽性の治癒切除不能な局所進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する一次治療のP3相KEYNOTE-811試験において、2つの主要評価項目のうち全生存期間(OS)を達成したと発表した。
KEYNOTE-811試験の結果に基づき、キイトルーダは、FDAが承認する検査で腫瘍にPD-L1発現(CPS≧1)が認められるHER2陽性の治癒切除不能な局所進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者に対する一次治療において、トラスツズマブ、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法が承認されている。
この適応症は、先の解析で示された客観的奏効率(ORR)および治療効果の持続性に基づき米国食品医薬品局(FDA)により迅速承認を受けている。承認維持のために、検証的試験による臨床上の効果の確認および説明が必要となる場合がある。
同試験の最終解析で、キイトルーダとトラスツズマブおよび化学療法の併用療法は、ITT解析対象集団において、プラセボとトラスツズマブおよび化学療法の併用療法と比較してOSに統計学的に有意で臨床的に意味のある延長を示し、PD-L1陽性(CPS≧1)の患者でその効果は最も大きくなった。この試験におけるキイトルーダの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。この結果は今後の医学関連学会で発表し、世界中の規制当局に提出していく。
先の中間解析でKEYNOTE-811試験はもう一つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成しており、この結果は2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表された。
米国においてキイトルーダはKEYNOTE-859試験のデータに基づき、HER2陰性の治癒切除不能な局所進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者の一次治療としても承認されている。
MSDでは、消化器がんの治療薬としてキイトルーダを評価する広範な臨床開発プログラムを実施しており、胃がん、肝胆道がん、食道がん、大腸がんに対するキイトルーダの複数の用法の評価を実施している。
◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部のグローバル臨床開発部門がん担当責任者シニアバイスプレジデントの(博士)のコメント
進行胃がんと診断された患者さんの予後は不良であることが多く、患者さんの寿命を延ばす可能性のある治療の選択肢が求められている。KEYNOTE-811試験の全生存期間の心強い結果は、この試験でこれまでに得られている無増悪生存期間、奏効率、奏効期間の良好なデータに加えられるものである。