大阪市内での一包化限定調剤業務委託開始で「対人業務充実の検証」を要望 乾英夫大阪府薬会長

尾島博司大阪府薬剤師連盟会長勇退も報告

乾氏

 大阪府薬剤師会は7日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が、国家戦略特区による調剤業務の一部外部委託事業として大阪市内で‟一包化に限定した調剤業務委託事業”の実証検証が開始されることに言及。「大阪府薬として反対の考えは変わらないが、やると決まった以上は事故がないよう安心・安全に行うのは当然である」と明言した。その上で、「この事業で対人業務がどれだけ充実したかをしっかりと検証して頂きたい」と要望した。
 乾氏は、大阪の分業率が72.1%(全国平均80.3%)に達したことにも、「大阪は、‟面分業で80%”を目標に医薬分業を進めてきたが、70%を突破したのは感慨深い」と感想を述べ、「今後は、2025年地域包括ケアの中で、薬局薬剤師役割をしっかりと示し、患者のための薬局ビジョンを大阪府薬として明確に進めて行く」考えを強調した。

 また、5月18日開催の大阪府薬剤師連盟定時評議員会について「尾島博司連盟会長が勇退し、(乾氏が)連盟会長として専任された」と報告した。
 地域における夜間・休日の医薬品提供体制(在宅含む)リストは、5月11日に、地域薬剤師会が独自にリストを作成する6地域を除く2889薬局(会員2461軒、非会員428軒)が大阪府薬のホームページにアップされ、地域住民が閲覧できる体制になっている。
 乾氏は、今回の大阪市内でスタートする一包化に限定した調剤業務委託事業について、「この業務を提案している大手薬局チェーン等で構成された‟薬局DX推進コンソーシアム”のミーティングに大阪府薬の役員も同席させ、安心・安全の立場から意見を申し述べてきた。その方向で進めて貰えると理解している」と強調した。
 大阪市では、同事業について、取り組みを希望する薬局を7月1日から受け付ける。薬局DX推進コンソーシアム以外の保険薬局も申請対象となるため、乾氏は「その点を大変懸念している」と断言し、「地域の薬局の対人業務を充実させるには、他の方法もあるのではないか」との考えを訴求した。
 道明雅代副会長も一包化に限定した調剤業務委託事業の流れについて、「処方箋応需薬局が処方内容を監査をして、受託薬局にそれを依頼する。一包化された薬剤は処方箋応需薬局に送られ、最終監査を行って患者に服薬指導する」と説明した。
 その上で、「何かあった時の原因解明のために、一包化の際にはロット番号が写るシステムを導入して記録しておいてほしい」と同事業を実施する薬局に要望した。
 羽尻昌功常務理事は、「この事業形態では、既に一包化した薬剤の中から、一部の薬を抜かなけらばならない事象が発生した時、その対応をどうするのか課題が残る」と指摘した。
 地域における夜間・休日の医薬品提供体制(在宅含む)リストは、5月11日、大阪府薬のホームページに地域薬剤師会が独自にリストを作成する6地域を除く2889薬局(会員2461軒、非会員428軒)がアップされている。6地域薬剤師会のリスト薬局数は2400~2500件に上り、今後、大阪府薬のリストとリンクする。
 乾氏は、「大阪府薬が作成したリストの2889薬局と6地域のリストを合わせると現時点で3000薬局を超える。大阪府下の保険薬局数は4500軒あるので、大阪府薬が日本チェーンドラッグストア協会やNPhAにも協力を要請してさらなる充実を図っていきたい」と説明した。
 一方、非会員薬局の同リスト掲載について伊藤憲一郎副会長は、「大阪府薬では掲載事務手数料として年間2万4000円を徴収している」と明かした。

尾島氏

 大阪府薬剤師連盟会長を勇退した尾島博司氏は、医薬通信社に対して、「幹事長13年、会長4年の在任中に多くの御厚情を頂き、心から感謝している。後任の乾会長に対しても、私同様のご支援をお願いしたい」とのコメントを寄せている。
   

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