下水疫学調査の社会実装目指して 「国際下水疫学講座」開設 塩野義製薬

発表会での登壇者の記念写真
左から北島特任教授、片山教授、小林イノベーションフェロー、
加藤工学系研究科長、的場常務執行役員、滝沢センター長

 塩野義製薬は6日、東京大学大学院工学系研究科、島津製作所と工学系研究科附属水環境工学研究センター内に社会連携講座「国際下水疫学講座」を開設したと発表した。また、同日、「国際下水疫学講座」設立発表会が開催された。
 同講座は、下水疫学という社会的要請の高い学術分野について東京大学と両社が連携。社会実装の早期実現に向けた研究開発および実証調査を推進することで、当該学術分野の発展と公衆衛生向上への寄与を目指すもの。
 下水疫学調査(下水サーベイランス)は、下水中に含まれる病原体の調査により地域や施設単位の感染症の流行状況を把握する技術である。欧米では、下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の定期的な分析によって、流行状況の早期検知や収束判断の材料の一つとして活用されている。
 一方、日本を含むアジア諸国では、こうした取り組みがまだ十分に展開されておらず、今後の社会実装に向けた調査研究の余地がある。
 同講座は、下水疫学調査の技術基盤確立とともにその社会実装への取り組みを広く世界に発信することをミッションとしている。
 また、下水処理場や個別施設における下水疫学調査に加え、空港下水や旅客機由来の排水を対象とする病原体検出調査による「感染症の越境流入監視技術」の構築を目指す。
 同講座で社会実装に適した下水中病原体検出技術を確立した後、ISO(国際標準化機構)規格に反映させるための積極的な提案活動を通じて、日本から「下水疫学調査の国際標準」を世界に向けて発信する。
 なお、塩野義製薬と島津製作所は2022年2月に、下水疫学調査の技術の確立・普及を目的に、AdvanSentinel(本社:大阪市中央区)を設立しており、同講座での各種研究開発・実証実験には、研究協力者として同社も参画する予定である。社会連携講座「国際下水疫学講座」の概要は、次の通り。

◆名称:(和文)国際下水疫学講座
(英文)Laboratory of International Wastewater-based Epidemiology

◆設置期間:2024年3月1日~2027年3月31日

◆設置機関:東京大学大学院工学系研究科附属水環境工学研究センター

◆連携機関:島津製作所、塩野義製薬

◆担当教員:片山 浩之 特任教授(都市工学専攻教授兼任)、北島 正章 特任教授(専任)

タイトルとURLをコピーしました