日本イーライリリーは、アトピー性皮膚炎患者436 名と一般生活者309名を対象に実態調査を実施した。同実態調査は、アトピー性皮膚炎患者さんの生活と治療における現状・課題、一般生活者とのギャップ等について理解を深めることを目的としたもの。アトピー性皮膚炎は、増悪と軽快を繰り返すかゆみを主病変とする慢性炎症性皮膚疾患である。
今回の調査結果からアトピー性皮膚炎患者は、日常生活において一般生活者より毎日の皮膚ケアに費やす時間的負担があるだけでなく、55%の患者さんが睡眠への影響があると回答している。
また、外用剤に関する項目に加え、「人目が気になる」、「日用品の素材に気をつかう」、「かゆくて眠れない日が多い」、「おしゃれができない・制約されている」といった困りごとが一般生活者より有意に高い割合で示された。
アトピー性皮膚炎でなかったら良かったと患者が強く思う時期は「友人・知人と過ごしている時」が最も高く42%の患者が回答したことが分かった。
このように患者は多くの困りごとを抱えており、アトピー性皮膚炎の総合的な治療満足度について、「非常に満足している」と回答した患者は9.9%にとどまった(図 2)。
また、日常の忙しさから通院を先送りしたことがある患者は全体の71%であり、日々のケアに加えて通院にかける時間的負担が存在することが考えられる。
なお、治療に非常に満足している割合について、生活上の困りごとについて医師に話せている程度で比較すると、“しっかり”または“ある程度”伝えられている患者では14.7%、“少し”または“伝えられていない”患者では 3.2%であった(図 3)。
さらに、同調査では、アトピー性皮膚炎患者の中でも、生物学的製剤またはJAK 阻害剤を使用している患者は、非使用者の6.5%に比べて治療に非常に満足している割合が25%と高いことが示された。
◆同調査を監修した中原剛士九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野教授のコメント
アトピー性皮膚炎は小児期に発症することが多く、疾患と長く付き合ううちに日々のケアが当たり前になり、人生の大事なイベントや楽しみを諦めてしまう患者さんもいらっしゃると考えられる。
ご自身に合う治療を選択するためにも、通院を先送りせず、ぜひ積極的に困りごとや症状が改善したら実現したいことを医療従事者に話して頂きたい。そのことがきっと最適な治療、そしてよりよい治療効果につながるはずである。
主な調査結果は次の通り。
【アトピー性皮膚炎の影響】Q:あなたが毎日、塗り薬を塗ったりスキンケアをしたりするなど、アトピー性皮膚炎の治療に使う時間は何分くらいですか?Q:あなたは、毎日の塗り薬やスキンケアがどのくらいの時間でできれば、無理なく継続ができそうですか?
Q:アトピー性皮膚炎(/あなたが肌)のかゆみによって睡眠を妨げられた日は週に何日ありましたか?この1年間の平均的な1週間でお考えください。
【アトピー性皮膚炎患者さんの困りごと/悩みごと】Q:あなたにあてはまることは、どのようなことですか。以下のうち、あなたにあてはまるものをすべてお知らせください。Q:あなたが困っていたり、悩んだりすることは、どのようなことですか。以下のうち、あなたが困っている、悩んでいることとして、あてはまるものをすべてお知らせください。
【アトピー性皮膚炎が原因であきらめたこと】Q:あなたは、アトピー性皮膚炎により以下のことをあきらめたことがありますか?どの程度ご自身にあてはまるかお知らせください(患者さんが回答 *「興味がない」を除く)。
【アトピー性皮膚炎でなかったら良かったと強く思う時期】Q:アトピー性皮膚炎がなかったら良かったと強く思う時期は、どのような時期ですか?
【通院や治療に対する時間的負担】Q:あなたは、日常生活の忙しさから、アトピー性皮膚炎の治療のための通院を先送りしたことがありますか?
Q:あなたは、アトピー性皮膚炎の治療に使う時間がなくなったら良いと思いますか?
【治療満足度】Q:あなたは、ご自身のアトピー性皮膚炎の症状から派生する「生活上の困りごと」について、どの程度医師に伝えられていますか?Q:あなたは、現在されているアトピー性皮膚炎の治療について、総合的にどの程度満足していますか?
Q:あなたは、現在されているアトピー性皮膚炎の治療について、総合的にどの程度満足していますか?
【医師とのコミュニケーションの満足度】Q:あなたは、アトピー性皮膚炎に関する以下の項目について、それぞれどの程度満足していますか?