トラスツズマブ デルクステカン 乳がん患者のP3試験で無増悪生存期間を有意に改善 第一三共

 第一三共は3日、開発中の、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201 、ADC)について、化学療法未治療の転移再発乳がんを対象としたP3試験において主要評価項目である無増悪生存期間を統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したと発表した。この最新データは、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2024)で発表された。
 有効性では、主要評価項目であるHR陽性かつHER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH‑)の化学療法未治療の転移再発乳がん患者713名における無増悪生存期間の中央値において、同剤投与群は13.2ヵ月で、8.1ヵ月の化学療法投与群に対し病勢進行または死亡リスクを38%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。  
 重要な副次評価項目である全患者集団(HER2低発現およびHER2超低発現)866名における無増悪生存期間の中央値において、同剤投与群は13.2ヵ月で、8.1ヵ月の化学療法投与群に対し病勢進行または死亡リスクを37%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
 また、事前に規定した探索的な解析では、HER2超低発現患者152名における無増悪生存期間の中央値において、同剤投与群は13.2ヵ月、化学療法投与群は8.3ヵ月であった。
 客観的奏効率は、HER2低発現患者において、同剤投与群の56.5%(完全奏効9名、部分奏効194名)に対し、化学療法投与群では32.2%(完全奏効 0名、部分奏効 114名)であった。 HER2超低発現を含む全患者集団においては、同剤投与群の57.3%(完全奏効13名、部分奏効237名)に対し、化学療法投与群では31.2%(完全奏効0名、部分奏効 134名)であった。
 HER2超低発現患者においては、同剤投与群の61.8%(完全奏効 4名、部分奏効 43名)に対し、化学療法投与群では26.3%(完全奏効 0名、部分奏効 20名)であった。
 安全性について、新たな懸念は認められず、同剤の他の乳がんの試験と同様の傾向であった。同剤投与群におけるグレード3以上の有害事象として、好中球減少症(20.7%)、白血球減少症(6.9%)、貧血(5.8%)等が認められた。
 間質性肺疾患(ILD)については、同剤投与群の11.3%がILD外部判定委員会により同剤と関係のあるILDと判定された。グレード1が7名(1.6%)、グレード2が36名(8.3%)、グレード3が3名(0.7%)、グレード4が0名、グレード5(死亡)が3名(0.7%)であった。
 第一三共は、同試験結果に基づき、化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現(HER2超低発現を含む)乳がん患者に同剤を速やかに提供できるよう、日本を含めたグローバル承認申請に向けた準備を進めている。

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