アンジェスは29日、米国でVasomune社と共同開発しているウイルス性肺炎及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS)治療薬「AV-001」について、米国FDAよりファスト・トラック指定を取得したと発表した。
AV-001は、Tie2受容体アゴニストで、今回のファスト・トラック指定は、ARDSの治療と予防に対するアンメット・メディカル・ニーズの高さを示している。
同剤は、Tie2 受容体を標的とするファースト・イン・クラスの完全合成 PEG 化ペプチドであり、Tie2受容体の活性化は、血管内皮バリアの維持と血管の安定化に重要な役割を果たしている。特に、肺腔内においては、血管の安定性、バリアの完全性に重要な役割を担っている。
P1試験では、安全性に問題はなく、1日1回投与が可能な薬物動態を示し、Tie2 活性化に基づく強力な活性が確認された。現在、ARDSの予防と治療を目的としたP2試験をアンジェス社と共同して実施している。
ARDSは、様々な疾患が原因となり、重度の呼吸不全となる症状であり、現在その治療薬はない。FDAからのファスト・トラック指定取得は、「Tie2受容体アゴニスト(AV-001)」のARDSへの治療薬として期待の大きさを表すもの。
なお、今回のファスト・トラック取得に伴う当連結会計年度における連結業績予想に変更はないが、同件により「Tie2受容体アゴニスト(AV-001)」の開発が加速するため、同社の中期的な企業価値向上に資するものと考えられる。
◆ブライアン・ジャーンスVasomune社社長兼最高執行責任者(COO、博士)のコメント
当社は、ARDSや血管内皮の不安定性を原因とするその他の疾患と闘う人々の持続的なアンメット・ニーズに焦点を当てている。 米国国防総省のCongressally Directed Medical Research Programs 助成金(#PR191212)で AV-001 を臨床に進めるための支援を受け、#PR203503ではP2試験をアシストして頂いた。
また、P1試験を支援していただいたカナダ国立研究評議会(National Research Council Canada)の助成金#IRAP-965762 にも感謝している。
◆山田英アンジェス代表取締役社長のコメント
FDAがAV-001の開発加速を支持したことは、本品の治療のパラダイムを変えようとする我々の努力において、新たな重要なマイルストーンとなる。AV-001のP2試験の成功を楽しみにしている。