医薬事業の立て直しと再生・細胞医薬事業確立 住友ファーマ木村徹次期社長

会見する野村氏、木村氏(左から)

 住友ファーマの野村博社長、木村徹代表取締役専務執行役員は14日、2023年度決算説明会で会見し、6月25日付で次期社長に昇格する木村氏が「医薬品事業の立て直しと再生・細胞医薬事業確立を私の使命であると考えている」と抱負を述べた。

木村氏


 同日発表した23年度連結決算では、ラツーダ(非定型抗精神病薬)の米国での独占販売期間が終了し、同剤に代わる米国の基幹製品の伸長が予想より遅れたため、売上収益が大きく減少して最終赤字が3150億円に膨らんだ。
 24年度は、資産売却(200億円)してコア営業利益10億円を達成するものの最終赤字は160億円となる見込みにある。3年連続の赤字となるが木村氏は、「25年度は、資産売却無しでの最終利益の黒字転換を目指したい」と力強く語った。
 6月よりスタートする新体制では、木村氏を新社長に、代表取締役副社長執行役員に住友化学代表取締役専務執行役員の酒井基行氏、取締役執行役員に住友ファーマアメリカ社長兼CEO(現執行役員)の中川勉氏が就任する。
 木村氏は、「野村体制の下でラツーダクリフに対する道筋は付けられた。新体制では、しっかりとその路線を引き継いで経営再建を図っていきたい」と語気を強めた。
 さらに、「北米は、昨年度に住友ファーマアメリカの構造改革を行って大きな手を打った。国内の売上収益は、今後、糖尿病薬のエクア、エクメットが後発品の影響を受け一旦下がる可能性がある」と説明した上で、「国内は、導入品によって増収を図るか、それが難しいならスリム化するなど新体制の下で必要に応じたデシジョンをしていく」考えを示した。
 再生・細胞医薬事業は、24年度に他家iPS細胞由来製品(パーキンソン病)の日本での承認申請、条件付き承認取得を目指しており、「再生医療のパワーを理解して貰えると雰囲気も変わる」と言い切った。同事業は、住友化学と共同で立ち上げる新会社で手掛けていく。

野村氏

 一方、野村氏は、「木村氏はサイエンスのバックグラウンドもありリーダーとしての役割をしっかり果たせると確信している」と断言。その上で、「北米のグリップ、コスト管理をしっかりと行って業績回復を実現してほしい。再生・細胞医薬事業や、抗がん剤などをきちんと成長させて、2030年代後半の成長の柱を作って頂きたい」とエールを送った。
    

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