未承認薬の国内参入支援でスズケングループ、EPSグループとパートナーシップ締結 武州製薬

 武州製薬は9日、スズケンならびにスズケン連結対象子会社の三和化学、EPSグループと、ドラッグロス品目の日本上市を支援するための合同ビジネスについてパートナーシップ契約を締結したっと発表した。
 近年、日本のドラッグロスと呼ばれる他の国では承認されているにもかかわらず、日本では承認されていない「国内未承認薬」の存在が問題となっている。
 実際、欧米で過去5年間に新しく承認された新薬のうち、約70%が日本では承認を受けていない品目であるとの結果が報告されている。さらに、国内未承認薬の約半数は、米国FDAまたは欧州医薬品庁(EMA)にてオーファン指定を受けており、臨床的に重要な薬剤が日本で開発されていない、または開発が遅れているといった現状が浮き彫りになっている。
 ドラッグロスにはさまざまな要因が複雑に絡んでいるが、欧米において新薬の開発・販売が大手製薬企業から日本法人を持たない新興企業にシフトしていることも要因の一つとして考えられる。これら新興企業の多くは、米国で設立されており、米国や欧州での開発・販売が優先され、資金面や日本の市場・規制の理解不足、言語の障壁などにより、日本市場への参入の優先順位が相対的に低くなっていると推察される。
 その一方で、将来的な日本進出の可能性も視野に入れ、早期に日本の開発権・販売権を導出し、将来の選択肢を狭めたくないという考えを持つ新興企業も少なくない。
 同ビジネスモデルは、スズケングループ、EPSグループ、武州製薬の3社グループが協力することで、日本における開発から、製造販売承認申請、製造、販売、物流などに至るまで、日本市場への参入に必要な役割を「ワンストップ」で提供するもの。
 新薬の承認には日本における製造販売業者の承認申請が必要となるが、医薬品医療機器等法の外国特例承認のための制度活用が可能である。日本に拠点の無い企業でも、日本の製造販売業者を選任することで、海外ライセンサー企業が自らの社名を使って承認を取得できる。
 今回のビジネスモデルでは、三和化学が選任製造販売業者となり、3社グループが連携して、日本における未承認薬の開発から製造販売承認申請、商業化を展開。3社グループが協力し、海外の新興企業に積極的に働きかけることで、同ビジネスモデルの早期案件獲得、国内未承認薬の早期開発を目指し、待ち望まれている新薬をいち早く患者届けていく。同ビジネスモデルの特徴、各企業の役割の役割は、次の通り。

【ビジネスモデルの特徴】

(1) 日本市場参入を「ワンストップ」で支援
 従来、日本参入を行うライセンサー企業は、個別に自ら日本における開発・商業化に向けた活動を行う必要があった。同ビジネスモデルは三和化学が窓口となり、CDMO機能を持つ武州製薬、CRO・CSO機能を持つEPSグループ、そして製薬企業である三和化学とメーカー物流・卸物流機能を持つスズケングループが、一体となって「ワンストップ」型のサービスを提供する。

(2) ライセンサー企業名での承認取得を支援
 同ビジネスモデルでは、外国特例承認のための制度を活用することで、日本市場への上市に向けて日本法人設立や人材の確保を行わずとも、ライセンサー企業名で承認取得することが可能となり、日本市場におけるライセンサー企業の認知度の向上やブランディングにつながる。
 加えて、ライセンサー企業に代わり、日本で各分野において豊富な実績を有する3社グループの協業により、医薬品開発、製造販売業者に求められる役割、安定供給などの高品質なサービスを提供する。

(3) 初期投資不要型ビジネスの提供
 新興企業などライセンサー企業の資金状況に応じて、日本における開発に伴う費用を三和化学とEPSグループが負担し、上市後、将来の売上より開発経費を回収する成功報酬型サービスを提供する。これにより、資金面で制限のあるライセンサー企業でもリスク無く日本市場に参入することが可能であっる。

【各企業の役割】

(1)武州製薬
 治験薬や商用製剤の生産および日本の規制に対応した二次包装(最終包装、ラベリングを含む)業務など

(2)スズケングループ
 ライセンサー企業との窓口業務、開発および規制当局対応、選任製造販売業者として製造販売業に伴う業務全般、販売業務、スペシャリティ医薬品の市販後の流通業務など

(3)EPSグループ
 開発支援およびコンタクトセンター業務など

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