PICC留置用のナビゲーション装置 医師の働き方改革のタスクシフトを推進 日本ベクトン・ディッキンソン

 4月1日から医師の働き方改革が本格化し、医師の負担を減らすため、看護師などと仕事を分担するタスクシフトが加速している。こうした中、医療現場のタスクシフトを支援する日本ベクトン・ディッキンソンは7日、医師や看護師の負担軽減のための製品の一つとして、日本で唯一承認されているPICC留置用のナビゲーション装置「シャーロック3CGプラス」を聖マリアンナ医科大学病院における導入事例とともに紹介した。

 2015年から施行されている看護師の「特定行為」の一つに「末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入」があり、PICCの挿入は特定行為の中でも特に医師からタスクシフトしやすい医療行為の一つだと考えられている。
 従来は、放射線科医がX線透視下でカテーテルの進行方向をリアルタイムに確認しながら留置する方法が一般的であった。看護師だけでPICCを留置する場合、非透視下となるため、意図しない血管にカテーテル先端が迷入するなどのリスクがある。また、X線透視下の手技は被ばくの懸念があり、患者、医療従事者にとって安全なPICC留置の方法が求められていた。
 日本で唯一承認されているPICC留置用のナビゲーション装置であるシャーロック3CGプラスは、磁場と心電図を指標として、カテーテルの先端位置をリアルタイムに表示することで、意図しない血管への迷入の回避と正確な留置をサポートするシステムである。ベッドサイドでのPICC留置をサポートすることで、導入先における医師から看護師へのタスクシフトにも貢献している。
 放射線科医の業務負担と、透視室の占有時間の増加が課題になっていた聖マリアンナ医科大学病院では、2022年に看護師で構成されたPICCチームを発足させ、院内認定制度の構築とシャーロック3CG (シャーロック3CGプラス の従来モデル)導入によって、透視室のPICC留置件数を年間348件(2022年)から、24件(2023年1月~9月)まで大幅な減少を達成した。
 また、PICCの留置を医師からPICCチームに置き換えることで、医師の勤務時間減少による人件費の削減も期待できる。
 実際、年間1000件以上のPICC留置を行う聖マリアンナ医科大学病院では、医師が2割、PICCチームが8割の業務を分担することにより、医師の業務負担時間を約800時間軽減することができるという試算が出ている。タスクシフトにおける「シャーロック3CGプラス 」のポイントは、次の通り。

◆医師から看護師のタスクシフトが期待される中で、特定行為「末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入」を、安全かつ正確に実施する方法が求められている。

◆同製品は、カテーテルの先端位置をリアルタイムに表示することで、透視が使えない環境下でのPICC留置をサポートするシステムである。

◆実際にPICC留置を医師から看護師によるPICCチーム主導に切り替えた聖マリアンナ医科大学病院は、透視室でのPICC留置件数が減少し、医師の人件費の削減と透視室の占有の解消につながっている。

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