総額3700億円で米国デサイフェラ社買収 小野薬品

 小野薬品は30日、米国のバイオ医薬品企業 デサイフェラ社(本社:米国マサチューセッツ州)との間で同社の買収に合意し、29日(日本時間)に契約を締結したと発表した。買収は、同買収のために設立する完全子会社を通じて、一株当たり25.60ドル、総額3700億円の現金を対価として実施される。
 小野薬品は、今回の買収を通じて、デサイフェラ社を同社の100%子会社とすることを目指す。合意した取得価格は デサイフェラ 社の潜在株式を含む発行済み普通株式数約9470万株との前提に基づいており、デサイフェラ社株式の2024年4月26日の終値(14.65米ドル/株)に対して74.7%、同日から過去30日間の売買高加重平均価格に対しては68.8%のプレミアムを加えた価格となる。小野薬品とデサイフェラ社の取締役会は、全会一致で本買収へ賛同している。
 小野薬品は、グローバルスペシャリティファーマとして、独創的かつ革新的な新薬を世界に届けることを目指している。中長期成長戦略である「パイプライン強化とグローバル開発の加速」および「欧米自販の実現」を見据え、医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患、スペシャリティ領域を重点研究領域に定め、医療現場に革新をもたらす新薬の創出に取り組んでいる。
 同買収により、がん領域における優れた研究開発能力と欧米でのコマーシャルケイパビリティを有するデサイフェラ社をパートナー企業として迎え入れ、当社グループのパイプラインの拡充及びグローバル展開を加速させていく。
 デサイフェラ社は、がんを対象とした革新的な医薬品の研究・開発・販売に注力しており、自社で創製した経口キナーゼ阻害剤からなる豊富なパイプラインを有している。KIT阻害剤であるQINLOCK(Ripretinib)は消化管間質腫瘍(GIST)の4次治療の薬剤として米国、欧州及び中国を含む40ヶ国以上で販売されている。
 加えて、CSF-1R阻害剤であるVimseltinibは腱滑膜巨細胞種(TGCT)を対象としたP3試験(MOTION study)において、主要評価項目及びその他副次的評価項目を統計学的有意に達成しており、米国において2024年第2四半期、欧州において2024年第3四半期での申請を予定している。また、 デサイフェラ 社は、米国および主要な欧州諸国において自社での販売網を構築しており、この販売網はVimseltinibにおいても活用される。
 同買収により小野薬品は固形がん領域のパイプラインを拡充し、特にQINLOCKとVimseltinibの獲得によって短中期的なグループの収益増加が期待できる。また、デサイフェラ社の欧米での開発・販売能力を獲得し、欧米自販体制を強化できる。さらに、デサイフェラ社の創薬能力の活用により、同社グループのオンコロジー領域において研究開発のさらなる加速が期待できる。

◆相良暁小野薬品代表取締役会長のコメント
 今回のデサイフェラ社の買収は、当社の目指すオンコロジー領域のポートフォリオ拡充のみならず、当社の欧米での事業展開を加速、また、キナーゼ創薬研究の強化にもつながるものと期待している。Dデサイフェラ社のミッション“Inspired by Patients : Defeat Cancer”は当社の企業理念 “病気と苦痛に対する人間の闘いのために”とも一致している。今後はデサイフェラ社の独自性を尊重し、両社のさらなる成長につなげていきたいと考えている。

◆Steven L. Hoerter デサイフェラ社社長兼最高経営責任者のコメント
 デサイフェラ社と小野薬品は患者さんの生活を改善するという強い使命感を共有しており、本買収により、患者さんにさらなる大きな影響を与えることが出来るようになります。両社の研究開発能力と商業化のプラットフォームを活かして、企業の成長を加速させることを期待している。
 また、本買収はデサイフェラ社の全てのステークホルダーの皆様に利益をもたらすとともに、グローバルなチームに成長する機会を提供することにより、患者さんにより大きな希望をもたらすと確信している。両社の将来的な組織統合を大いに歓迎しており、米国を含む全世界における小野薬品の持続的成長に貢献できることを光栄に思っている。


 同買収は、小野薬品の完全子会社によるデサイフェラ社のすべての発行済株式の現金による公開買付け、および、その後の同社のデサイフェラ社との合併を通じて実行される。同契約に基づき、小野薬品はデサイフェラ社の全株式を1株当たり25.60ドル(総額約3700億円)で現金で取得する。
 これは、デサイフェラ社の過去30日間の出来高加重平均株価に68.8%のプレミアムを加えた価格に相当する。買収が完了すると、デサイフェラ社は小野薬品の100%子会社となる。最初の買付け期間は、速やかに開始され、開始後20営業日で終了する。特定の状況下において買付け条件が充足されない場合は、買付け期間を延長する場合がある。
 公開買付けに応募されなかったデサイフェラ社の株式は、公開買付けにおける買付け価格と同額の支払いを受ける権利に転換される。同買収の完了は、議決権ベースで50%超のデサイフェラ社株主が同社の株式公開買付に応じること、独占禁止法関連当局の承認、およびその他のクロージング条件の充足を前提としている。
 両社は、2024年度第2四半期中の買収完了を見込んでいる。なお、小野薬品とデサイフェラ社の特定の株主(合計で約28%の株式を保有)との間で小野薬品による公開買付けに応募する旨の契約を締結している。同買収契約の写しは、米国証券取引委員会(「SEC」)に提出され、SECのウェブサイト(http://www.sec.gov )で公開される。
 小野薬品においては、財務アドバイザーとしてBofA証券株式会社、法律アドバイザーとしてGreenberg Traurig、会計税務アドバイザーとして株式会社KPMG FASおよびKPMG税理士法人、人事アドバイザーとしてタワーズワトソン株式会社およびマーサージャパン株式会社が務めている。デサイフェラ社においては、財務アドバイザーをJ.P. Morgan Securities LLC、法務アドバイザーをGoodwin Procter LLPが務めている。

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