塩野義製薬は25日、2024 年3月期の期末配当を75.00円から85.00円に増配すると発表した。
同社グループは、成長投資と株主還元のバランスを取りながら企業価値の最大化を図り、中長期的な利益成長を株主に実感して貰える施策を推進している。配当については、DOE 4%以上を指標に、企業価値の成長に応じて安定的に高めていくことを目指している。
2023年度には、新たに中期経営計画STS2030 Revisionを公表し、創薬型製薬企業としての強みをさらに進化させるとともに、医薬品の提供にとどまらず、顧客ニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供するHaaS企業へと変革することを目指している。
こうした中、これまでの成果として、国内医療用医薬品では、新型コロナ経口治療薬「ゾコーバ」の市場への浸透拡大や、インフルエンザの流行継続による「ゾフルーザ」を中心としたインフルエンザファミリーの販売を拡大してきた。
それにより、流行に左右されやすいとされる感染症薬の市場において、複数の治療薬保有による感染症ビジネスの安定化を実現し、年間を通じた収益の安定化を図ることができた。
海外事業では、セフィデロコルの自社販売の拡大に加え、パートナリングを活用した供給国の拡大によって、同薬へのアクセス向上にむけた取り組みが大きく進展した。
ゾコーバ、ゾフルーザおよびセフィデロコルはいずれも自社創製品であり、これらの製品供給をグローバルに拡大し、売上の成長を実現することは、STS2030 Revisionにおける最も重要な取り組みの一つである。引き続き、自社創製品のグローバル展開に注力していく。
また、今後の成長ドライバー候補となる複数の開発プロジェクトについても、積極投資の結果として臨床試験のステージアップを実現し、さらなる成長に向けた強固な基盤を構築している。
これら取り組みに加えて、英国ヴィーブ社によるHIVフランチャイズの売上が、ドウベイト、Cabenuvaなどの新製品を中心に大きく伸長し、ヴィーブ社から堅調なロイヤリティー収入と配当金を受領した。HIVフランチャイズについては、長時間作用型製剤であるCabenuva、Apretudeの市場浸透が大きく前進しており、中長期的な成長が期待される。
さらに、2023年度も前期に引き続き、株主還元の強化、資本効率の向上ならびに機動的な資本政策の遂行を図るため、過去最大の自己株式の取得(1084万2100株、取得総額約750億円)と消却(1084株、消却前の発行済株式総数に対する割合3.53%)を実施した。
これらの背景ならびに財務状況、STS2030の株主還元指標であるEPS、DOE、ROE等を総合的に勘案した結果、前回発表(2023年5月10日)の期末配当予想を、1株当たり10円増配の85円に修正する。これにより、中間配当と合わせた年間の配当金は1株当たり160円で、前期と比べて25円の増配となり12期連続の増配となる。