脳・心血管疾患発症ゼロ実現に向け欧州での遠隔診療サービス事業強化
オムロンヘルスケアは8日、欧州で医療機関向けの遠隔診療サービス事業を展開するLuscii社(本社:オランダ)の発行済株式のすべてを4月4日(現地時間)に取得したと発表した。
株式取得は、欧州を統轄する子会社Omron Healthcare Europe B.V.(本社:オランダ、OHE)を通じて実施したもの。今回のLuscii社の完全子会社化を通じて、欧州での遠隔診療サービス事業を強化し、同社が循環器事業のビジョンとして掲げる「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」の実現を加速していく。
Luscii社が提供する遠隔診療サービスでは、高血圧などの循環器疾患やCOPDなどの呼吸器疾患など150以上の疾患に対応する診療プログラム「ケアプラン」を提供している。
脳・心血管疾患を発症した患者が主な利用者となり、自宅に居ながら医師の診察を受けたり、術後の健康管理を行うことができる。Luscii社のサービスは、オランダとイギリスを中心に欧州エリアで約50以上の病院に導入されている。
また、Luscii社は、医療機関や開業医、医療コールセンターなど幅広い医療ネットワークを有しており、患者の症状に応じてタイムリーな対応が可能だ。
オムロンヘルスケアは、2018年にLuscii社と業務提携を締結し、OHEを通じて同社に出資を行なった。同社の通信機能付き血圧計をLuscii社のサービスに連携して、診察時に患者が家庭で測定した血圧データを確認できるようにするなど、両社の機器やサービス、ノウハウを共有しながら事業を展開してきた。
また、オムロンヘルスケアは、欧州向けに遠隔診療サービス“Viso”を開発し、2022年5月からイギリスで提供を開始した。“Viso”には、医師に3ヵ月の投薬プランを提案するプログラムや、患者の状態を素早く確認するための問診メニューが搭載されており、遠隔での高血圧治療と適正な血圧コントロールをサポートしている。
今回の株式取得により、当社が蓄積した高血圧治療における患者のニーズや遠隔診療サービスのノウハウと、Luscii社がもつ幅広い疾病に対応した患者の管理・治療プログラムを融合することで、より多くの患者をタイムリーかつ専門的にサポートできる遠隔診療サービスを提供していく。