大塚製薬は2日、米国クリック社と共同開発しているデジタル治療アプリ「Rejoyn」(開発コード:CT-152)について、22歳以上の大うつ病(MDD)補助療法として、米国FDAより510(k)クリアランス(認可)を取得したと発表した。
MDDを対象にFDAから認可された初めてのデジタル治療処方アプリとなるRejoynは、医療従事者の処方を必要とするアプリで、2024年後半には米国においてiOSとAndroidのア プリストアでダウンロード可能となる予定だ。
Rejoynは、すでに臨床的にその効果が実証されている2つの治療方法である「様々な感情を表す顔の表情を用いた認知機能訓練」と、「アプリによる認知行動療法」を組み合わせたもの。6週間の治療セッションを通じて、抗うつ薬を服用している患者のうつ症状を改善するように設計されている。
一般に流通しているウェルネスアプリとは異なり、治療アプリであるRejoynは、臨床試験で有効性と安全性が確認された医療機器のため、医療従事者の処方を要する。
今回の認可は、抗うつ薬を服用している22歳から64歳までの成人のMDD患者386名を対象とした13週間の多施設共同、無作為化比較試験の結果に基づいている。
結果として、Rejoyn治療群は 対照群と比較して、うつ症状の改善を示し、Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)、Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)、Clinical Global Impression – Severity(CGI-S)など、複数のMDDの評価尺度において一貫した改善効果が確認された。6週間の治療プログラム終了後も1ヶ月間にわたりRejoyn治療群は症状改善効果を維持した。
試験中にRejoynに関連する副作用は報告されなかった。全 臨 床 デ ー タは 、Clinician Brief Summary(https://rejoynhcp.com/Clinician-Brief-Summary.pdf)で報告されている。
◆John Kraus大塚製薬取締役兼大塚ファーマシューティカルD&C上級副社長兼CMOのコメント
Rejoynは、現在の標準治療を補う MDDの革新的な補助療法である。大塚製薬は、精神疾患を抱える人々の未解決のニーズに対応するという強い使命感を持ち続けており、Rejoynの認可は、それを実現する一例である。
◆Brian Iacovielloマウントサイナイ医科大学アイカーン校精神科アシスタント・プロフェッサー(クリック社科学アドバイザー、博士)のコメント
Rejoynは、うつ病が影響を与える脳の特定領域における連携を強化することを目指し、それぞれの患者さんに合わせて設計された一連の脳エクササイズを提供する。これは”脳の理学療法”のような作用をする。感情をコントロールする脳の部分と、それを調整する部分との間の強固なつながりを形成することで、感情を適切に処理できるようになる。
◆David Benshoof Kleinクリック社社長兼CEOのコメント
MDDと診断され、抗うつ薬や心理療法を初期治療として受ける患者さんの治療満足度は十分ではない。Rejoynの認可は、MDD治療において根本的な変化をもたらすものであり、新たな治療選択肢を求めている患者さんに希望を与えるものである。