子会社Emendo社のイスラエルゲノム編集R&D体制を35名程度に縮小 アンジェス

 アンジェスは15日、子会社Emendo社のイスラエルにおけるゲノム編集R&D体制について、生産部門等を縮小するとともにOMNIヌクレアーゼ開発の中核をなす30名程度に再編成すると発表した。
 OMNI プラットフォームの開発体制が労働集約型から知識集約型に移行するのに伴い、現在の105名から75名削減するもの。退職完了予定時期は、2024 年第3四半期としている。
 また、Emendo社の代表者には David Baram に代わってアンジェス取締役の佐藤尚哉氏が CEOに就任。アンジェスより既に米国に要員を派遣して、米国での研究開発体制の構築を開始している。
 さらに、米国においてライセンス活動実績の豊富な米国コンサルタントなどとの提携を通して、事業開発活動を加速化している。
Emendo社は、そのイスラエル子会社である Emendo R&Dにおいて、ゲノム編集の安全な医療応用に欠かせない精度の高いヌクレアーゼを探索、最適化する技術プラットフォームの開発及びその臨床試験の準備などを行ってきた。
 ゲノム編集治療はこれまで治療法のなかった疾患の治療が可能になるなど、その研究開発に期待が寄せられている。Emendo社では、ゲノム編集治療の課題である狙った以外の場所を切断してしまう「オフターゲット効果」を回避する独自のOMNIヌクレアーゼの開発を行っており、「オフターゲット効果」の発生が少ない独自のヌクレアーゼを多数開発している。
 さらに、このOMNIヌクレアーゼの臨床試験への応用の嚆矢として、米国においてELANE関連重症先天性好中球減少症の臨床試験の準備を進めている。
 これまで、Emendo R&D は独自のOMNIヌクレアーゼの開発にあたり、その探索と最適化を労働集約的に行ってきたが、近時においては、これまで蓄積された大量のデータをベースに、人工知能、なかんずく機械学習を活用し、知識集約的な研究開発体制に移行した。
 こうした研究開発戦略の検討を踏まえ、2023年10 月にガザ地区における紛争が勃発したこともあり、それにより顕在化した地政学的リスクも考慮した結果、研究開発体制の再編成を実施した。
 これまでは、独自のOMNIヌクレアーゼの産出及びそれを利用したパイプライン・プロジェクトの非臨床研究を中心に事業を進めてきたが、今後は実用化フェーズに入り、また臨床試験の準備を進めているプロジェクトもあるため、今回の事業再編成により Emendo R&DでのOMNI プラットフォームの開発を継続しつつ、米国での臨床開発及び導出活動を加速化できる体制に移行していく。
 導出活動の最初の事例として、OMNI ヌクレアーゼに関するライセンス契約をスウェーデンのAnocca社と締結した。
 こうした背景により事業活動が臨床開発及び導出活動中心となるため、その業務経験と実績が豊富なアンジェスが経営を主導する。
 同件に伴う費用等については、2024年2月22 日に発表した決算短信の重要な後発事象で開示している。2023年度発生分の事業構造改革費9億0400万円及び当期に発生を見込んでいる1億4600万円に加え、新たに退職金として 1億4000万円の費用発生を見込んでいる。
 ただし、同該費用については、今後の交渉により変動する可能性がある。なお、今回の発生した退職金1億4000万円への対応として経費等の見直しを実施するため、2024年12月期の連結業績予想の変更はない。

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