ファンペップは4日、開発中の花粉症のアレルギー性鼻炎ワクチン(抗 IgE 抗体誘導ペプチド)「FPP004X」の開発において、塩野義製と資本業務提携を行うとともに塩野義製薬に対して第三者割当による新株式の発行を行うと発表した。
今回の第三者割当増資により、ファンペップは塩野義製薬に対して、当社普通株式158万7300 株(同社の 2023年 12 月 31 日現在の発行済株式数の6.55%を割り当てる。
塩野義製薬は、皮膚潰瘍治療薬SR-0379に関する業務提携先でありファンペップ株式を保有している。塩野義製薬は現在ファンペップの第3位の株主(109万5200株保有)であるが、今回の第三者割当増資によりファンペップの筆頭株主(268万2500 株保有、全株式の0.38%)へ異動する見込みだ。
抗体誘導ペプチド FPP004X の開発に対しては、上場調達資金に続いて本第三者割当増資の調達資金を充当する予定で、上場調達資金のうちFPP004Xの開発費に充当予定の1億7619万1000円は 2024年12月までに充当する。
ファンペップは、大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である機能性ペプチド「AJP001」を強みとして展開する抗体誘導ペプチドプロジェクトを中心に医薬品の研究開発を進めている。
開発段階にある抗体誘導ペプチドは、標的タンパク質IL-17Aに対するFPP003、標的タンパク質IgEに対するFPP004X及び標的タンパク質IL-23に対するFPP005 である。
このうち、FPP004Xは、標的タンパク質IgE(Immunoglobulin E)に対する抗体誘導ペプチドであるが、IgEは、アレルギー反応に重要な役割を果たしており、アレルギー性疾患の発症に関与している。
ファンペップは、FPP004X について、2025 年からの日本国内での臨床試験開始を目指して花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)を対象疾患とする前臨床試験を進めていた。
同資本業務提携において、FPP004Xの研究開発に塩野義製薬が強みを持つ医薬品開発のノウハウを活かすことで、効果の持続性が長いというワクチンの特長を生かした利便性の高い花粉症治療薬の研究開発を推進する。
FPP004Xの対象疾患である花粉症は、スギやヒノキ等の植物の花粉に対する過剰なアレルギー反応を起こすアレルギー疾患だ。代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなど。
日本国内の全国疫学調査による有病率は、2019年に花粉症全体で42.5%、患者数の多いスギ花粉症で38.8%と高く、またそれぞれ10年前(2008年)と比較して10%以上上昇している。
このため、政府は花粉症を多くの国民を悩ませ続けている社会問題として捉え、2023 年4月から「花粉症に関する関係閣僚会議」を開催して花粉症対策に取り組んでいる。抗体誘導ペプチドは、患者様の体内で標的タンパク質に対する抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するペプチド治療ワクチンである。
標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチドFPP004Xは、体内で免疫細胞がIgEに対する抗体を一定期間産生させるため、花粉症に対する持続的な効果が期待される。
この効果の持続期間が長いというワクチンの特長により、ファンペップは、花粉症のシーズン(飛散時期)前に投与すればシーズンを通して症状を緩和できる患者にとって利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指してFPP004Xの医薬品開発を進めている。
今回の資本業務提携において塩野義製薬が当社株式を追加取得することにより、ファンペップは医薬品開発に強みを持つ塩野義製薬との関係強化を図り、また調達資金をFPP004X 開発費へ充当し、アレルギーワクチン(抗体誘導ペプチド)の実用化へ向けた研究開発を推進していく。
オプション契約締結により、塩野義製薬は、ファンペップが実施する臨床試験の結果等にもとづき、FPP004Xの全世界における独占的研究開発及び商業化権を取得するオプション権を獲得する。
ファンペップが実施する前臨床試験及び臨床試験については、研究開発連絡会により塩野義製薬との間で意見交換をしながら進めていく。
塩野義製薬とファンペップは、2015年10月に締結した皮膚潰瘍治療薬SR-0379のライセンス契約にもとづき、現在日本国内での共同開発を進めている。同資本業務提携により両社の提携範囲は皮膚潰瘍治療薬 SR-0379 と抗体誘導ペプチドFPP004Xへと2品目に拡大する。