大阪府薬剤師会は13日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が能登半島地震被災地への支援薬剤師派遣状況について、「大阪府薬のモバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)は、2月3日まで輪島市門前町に配置し、その後一旦帰阪した」と報告。
各支援地域へ向かう支援薬剤師の宿泊施設の役割を担う国立能登青少年交流の家(羽咋市)に設置された日薬の柴垣本部の業務についても、「日薬からの依頼で大阪府薬が一手に引き受けていたが、こちらも2月15日に一旦終了して他の県薬に引き継ぐ」ことを明らかにした。
乾氏は、「現地の医療機関の復興もあり、支援薬剤師の需要はピーク時よりも少しずつ減少してきている」と説明。その上で、「日本薬剤師会からの要請があれば引き続き支援を継続する」考えを示し、「14日に 柴垣本部 、石川県薬剤師会に出向き、被災地の情報収集および今後の支援策について要望を聞く」と明かした。
2023年11月に実施した第3回「医薬品の流通状況アンケート」調査結果にも言及し、「医薬品不足の状況は全く良くなっておらず、袪痰薬などむしろ悪くなっている品目も増えている」と総括した。今後、今回の結果調査結果を厚労省や大阪府の行政、製薬企業、医師会、歯科医師会、不の病院団体に報告して、改善を訴求していく。
大阪府薬が輪島市門前町に派遣したモバイルファーマシー(2月3日にまで滞在)には、大阪府の地域薬剤師会から応募した支援薬剤師が第6陣(基本1チーム3名、4泊5日)まで派遣された。支援薬剤師は、災害処方の調剤、避難所の空気検査や健康相談、OTCの供給、環境衛生の助言などを実施した。「環境衛生は、トイレの衛生状況が悪く厳しい状況にあった」(乾氏)。
堀越博一常務理事は、これまで輪島市、門前町、能登町、珠洲市、穴水町の5拠点に配置されていたモバイルファーマシーについて、「今週から先は、珠洲市と門前町の2カ所に絞る予定にある。災害処方箋も減っており、今後は、被災地での保険診療・調剤の復活を見定めて日薬から派遣された各都道府県薬の支援薬剤師は撤退していくと思われる」と話す。
道明雅代副会長も「被災地や避難所によっては、医療体制が平時に戻りつつあるところもあり、支援薬剤師の派遣要請もピーク時よりも少しずつ減少している」と現況を報告し、「今後は、地域の医療ニーズをバロメーターにして支援薬剤師を派遣していく方向性にある」と述べた。
その一方で、石川総合スポーツセンターなどの1.5次避難場所では支援薬剤師の需要があり、「日薬の要請があれば引き続き派遣していく」(堀越氏)
乾氏は、「避難所では、1万人の被災者が7週目を迎えている。1日も早い復旧・復興に向けて支援活動を続けていきたい」と抱負を述べた。
第3回「医薬品の流通状況アンケート」調査結果は、菱谷博次専務理事が、「後発医薬品不足は、2021年度に比べて2022年度は若干の改善傾向が伺えたが、2023年度に入って再び増悪し、一向に改善せず悪化傾向にある」と分析した。
現在、納品が滞っている品目数は、6~10品目が最も多く、鎮咳剤、去痰剤、総合感冒剤の不足が際立つ。
1回目、2回目の「医薬品の流通状況アンケート」は、薬局での現状を、行政、製薬企業、医師会、歯科医師会、病院団体にしっかりと伝えることを主目的に実施された。
乾氏は、「それまで分かって貰えなかった薬局での医薬品不足がようやく周知され、昨年厚労省が検討委員会を立ち上げて議論し、製薬メーカーの増産体制の目途が立ってきた」とこれまでの経緯を説明した。
とはいえ、「製造品質の問題が結構根深く、根本的な解決まで至っていない。3回目の調査結果もこれまで通り関係各位に報告し、さらなる改善を訴求していく」と強調。「今年の後発品不足の改善状況を鑑みながら、第4回アンケートの実施も考えている」と語った。
その他、尾島博司大阪府薬剤師連盟会長が、4日、「あい、きぼう、これからの医療と薬剤師~主役は女性です~」をテーマに開催された2023年度OPL(大阪ファーマシストレディース)フォーラムについて報告。
グループディスカッションでは、来年改選を迎える本田あきこ参議院議員(薬剤師)をもっと知ってもらうために、「薬局点店頭に名刺型資材を置く」、「身近な従業員に議員の活動を知ってもらう」、「本田あきこ物語を2~3分程度の短い動画にして各薬局で流すことで会員以外の従業員に名前を知ってもらう」ーなど充実した討論が展開されたと強調した。
◆支援薬剤師や医療チームの活動と被災地の様子(写真は1月中に撮影)