オプジーボとカボメティクス併用療法 進行腎細胞がんP3試験一次治療の4年間追跡調査で長期的な生存ベネフィット 小野薬品

 小野薬品は23日、オプジーボとカボメティクスの併用療法について、進行腎細胞がんのファーストライン治療で評価した P3相CheckMate-9ER試験の4年間の追跡調査で長期的な生存ベネフィットを示したと発表した。ブリストルマイヤーズ スクイブ(BMS)とExelixis社が22日に公表したもの。
 スニチニブと比較評価したCheckMate -9ER 試験の4年間の追跡調査結果において、オプジーボとカボメティクスの併用療法は、スニチニブと比較して、国際転移性腎細胞がんデータベースコンソーシアム(IMDC)スコアのリスク分類にかかわらず、引き続き良好な無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)の改善を示した。併用療法群では、良好な全生存期間(OS)の改善も認められた。
 オプジーボとカボメティクスの併用療法による健康関連の生活の質の改善を示すデータを含めて、これらの最新のデータは、1月25日~27日に開催される2024年米国臨床腫瘍学会の泌尿器がんシンポジウム(ASCO GU)で口頭発表される。
 中央値55.6カ月間(最短48.1カ月間)の追跡調査において、オプジーボとカボメティクスの併用療法群(323例)は、スニチニブ群(328例)と比較して、次の有効性の評価項目で引き続きベネフィットを示した。
・PFS(主要評価項目):オプジーボとカボメティクスの併用療法群は、スニチニブ群と比較して、引き続きPFSの中央値を2倍近く延長しました(併用療法群16.4カ月 vs スニチニブ群8.4カ月 [ハザード比(HR)0.58;95% 信頼区間(CI): 0.49 – 0.70]。

・OS(副次評価項目):併用療法群は、スニチニブ群と比較して、OSの中央値(併用療法群46.5カ月、スニチニブ群36.0カ月)を改善し、持続的な生存ベネフィットを示した(HR 0.77; 95% CI: 0.63 – 0.95)。

・ORR(副次評価項目):併用療法群は、スニチニブ群と比較して、持続的な奏効率の改善を示し、ORRは2倍でした(併用療法群55.7% vs スニチニブ群27.7%)。

・完全奏効(CR):併用療法群は、スニチニブ群と比較して、引き続きCRベネフィットを示し、CRを示した患者数は3倍であった(併用療法群13.6% vs スニチニブ群4.6%)。

・奏効期間(DOR):併用療法群は、スニチニブ群と比較して、DORの中央値を延長しました(併用療法群22.0カ月vsスニチニブ群15.2カ月)。

・安全性:今回の追跡調査での解析において、新たな安全性シグナルは認められなかった。全患者集団において、グレードにかかわらず、治療に関連する有害事象(TRAE)が、併用療法群の97.5%、スニチニブ群の93.1%に認められた。グレード3以上のTRAEは、併用療法群で67.5%、スニチニブ群で55.3%であった。

 さらに、探索的解析では、低リスク、および中/高リスクを含むすべてのリスク分類の患者集団において、持続的かつ臨床的に意義のあるベネフィットが認められた。結果は次の通り。

・OS:中および高リスクの患者集団では、OSの中央値は併用療法群で43.9カ月、スニチニブ群で29.3カ月であった(HR 0.73;95% CI: 0.58 – 0.91)。低リスクの患者集団においては、OSの中央値は、併用療法群で52.9カ月、スニチニブ群で58.9カ月と同程度であった(HR 1.10;95% CI: 0.69 – 1.75)。

・PFS:中および高リスクの患者集団でPFSの改善を示し、PFSの中央値は、併用療法群で15.4カ月、スニチニブ群で7.1カ月であった(HR 0.56;95% CI: 0.45 – 0.68)。低リスクの患者集団でも、PFSの改善を示し、併用療法群で21.4カ月、スニチニブ群で12.8カ月でした(HR 0.69;95% CI: 0.48 – 1.00)。

・ORR:中および高リスクの患者集団において、ORRは併用療法群で52.6%、スニチニブ群で23.0%と2倍以上となった。低リスクの患者集団のORRは、併用療法群で66.2%、スニチニブ群で44.4%であった。

・CR:中および高リスクの患者集団において、併用療法群では、CRを達成した患者数がスニチニブ群の3倍以上となった(併用療法群12.9% vs スニチニブ群3.5%)。低リスクの患者集団において、CRを達成した患者数は、併用療法群で2倍となった(併用療法群16.2% vs スニチニブ群8.3%)。

・DOR:両方の患者集団において、併用療法群ではDORの中央値も改善を示した。中および高リスクの患者集団において、DORの中央値は併用療法群で23.1カ月、スニチニブ群で13.8カ月であった。低リスクの患者集団において、DORの中央値は併用療法群で18.7カ月、スニチニブ群で17.8カ月であった。

◆メキシコのInstituto Nacional de Ciencias Médicas y Nutrición Salvador Zubirán泌尿器がんクリニックのMaria Teresa Bourlon氏のコメント
 腎細胞がんは治療が非常に困難な場合があり、進行または転移性と診断された患者さんはしばしば予後不良となる。CheckMate-9ER試験の最新のデータは、オプジーボとカボメティクスの併用療法が死亡リスクを23%低減させるなど、複数の試験評価項目における持続的な有効性を示し、この深刻な疾患に対する重要なファーストライン治療の選択肢として引き続きその役割を裏づけるものである。

◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼消化器・泌尿生殖器がん領域グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
 未治療の進行または転移性腎細胞がん患者さんにとって、疾患管理と生存期間の延長を実現できる治療選択肢が依然として必要とされている。我々は、泌尿生殖器がんに限らず進行がんの患者さんのアウトカムの改善に向けたコミットメントに基づき、この2つの特有のモダリティを組み合わせることで、オプジーボとカボメティクスの併用療法という新たな標準治療を確立した。
 4年以上の追跡調査のデータは、リスク分類にかかわらず、進行腎細胞がんと診断された患者さんの生存期間を延長できる可能性がある泌尿生殖器がんの治療パラダイムにおけるオプジーボの併用療法の価値を裏付けるものである。

◆Amy Peterson Exelixis社製品開発部門・メディカルアフェアーズ部門エグゼクティブ バイス プレジデント兼最高医学責任者(M.D.)のコメント
 CheckMate-9ER 試験の結果は、未治療の進行腎臓がん患者さんに長期的な生存ベネフィットの希望をもたらす。オプジーボとカボメティクスの併用療法が、リスク分類にかかわらずこの患者集団において、4年間の追跡調査で引き続き持続的かつ臨床的に意義ある有効性を示し、この疾患における標準治療としてのレジメンの価値を裏づけることができたことをうれしく思う。
 カボメティクスとオプジーボの併用療法が、骨、肝臓および肺への転移を含む、治療が困難な部位に疾患を抱える患者さんにおいて、良好なPFSおよびOSベネフィットを示したことにも勇気づけられる。BMSとの連携で得られたこれらの有望な知見は、学術界と協力して進行がん患者さんの治療レジメンの進展に取り組む私たちのコミットメントを明確に示すものである。

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