アサイゲルマニウム 免疫細胞活性化で老化赤血球分解を促進

体内の酸素運搬機能向上及び血圧上昇抑制効果に期待
浅井ゲルマニウム研究所

 浅井ゲルマニウム研究所の研究チームは、食品・化粧品原料として使用されるアサイゲルマニウム(有機ゲルマニウム)が 免疫細胞を活性化させ、老化赤血球の分解を促進することを明らかにした。
 免疫細胞のひとつであるマクロファージの貪食能を高め、血中の老化赤血球の分解を促進させ、それを補うように新しい赤血球が増加するというもの。

アサイゲルマニウム

 アサイゲルマニウムは、ゲルマニウムインゴットを原料に独自のノウハウで有機合成した水溶性有機ゲルマニウム化合物でる。ゲルマニウム原子と酸素原子からなる12員環構造を持つことが特徴で、1967年に創製されて以来、免疫調整作用、鎮痛作用など、基礎研究、安全性研究及び臨床研究等200報以上の論文が報告されている。
 開発当初の1970年代から、医薬品用途として開発を進めてきたが医薬品には至らず、1998年以降は食品原料として、2002年からは化粧品原料として実績を積み重ねている。
 同研究により、アサイゲルマニウムによって生体内で相対的に新しい赤血球が増えることが示唆され、体内の酸素運搬機能の向上や血圧上昇抑制に寄与することが期待される。
 同研究成果は、2023年12月3日、欧米英文誌Heliyonにオンライン掲載された。
アサイゲルマニウム摂取により、動物やヒトにおいて、糞便の色が黄色に変化することが報告されている。
 ラットの試験では、アサイゲルマニウム摂取時に盲腸内容物中において赤血球の分解物であるヘムの代謝色素の増加を確認しており、これが糞便の色に大きく関与している。
 また、赤血球はマクロファージやクッパー細胞といった免疫細胞によって分解されるが、アサイゲルマニウムはマクロファージを活性化することも報告されている。
 その一方で、アサイゲルマニウム摂取後の血液に占める赤血球の割合(ヘマトクリット値)に変化はなく、赤血球の分解系のみならず、造血系にも作用していると考えられるデータも報告されている。
 浅井ゲルマニウム研究所では、これらの成果をふまえてアサイゲルマニウムがマクロファージを活性化させ、赤血球の分解を促進することの確認、および造血に対する影響について調査した。
 その結果、アサイゲルマニウムは、免疫細胞であるマクロファージの貪食能(不必要な物質を処理する能力)を高め、老化赤血球を貪食する作用を促進することを確認した。
 赤血球が分解されると、一部は色素となり糞便中に排出される。糞便の色の変化及び色素の量を調べることにより、赤血球の分解が亢進していることを明らかにした。さらに、抗酸化能を有する赤血球代謝色素が増えることで、糞便中の抗酸化能が増加することや、生体の恒常性が働き、分解された赤血球を補うように赤血球の産生が高まり、血液中の赤血球量が維持されることを確認した。研究の詳細は、次の通り。

(1).アサイゲルマニウム(THGP)によるマクロファージ※2の貪食能の亢進

 アサイゲルマニウムを添加した培地でマクロファージを培養し、異物(緑色蛍光ビーズ)を加えた。その結果、コントロールと比較し、アサイゲルマニウムを添加した培地で培養したマクロファージは、緑色の蛍光が強くなったことから、異物を取り込む量が増加したことが確認できた。(図1A,B)

図1 THGPで処理した時のRAW264.7細胞の貪食能に与える影響

 次に、アサイゲルマニウムを添加したマクロファージと添加していないマクロファージに、通常の餌、またはアサイゲルマニウムを添加した餌を4日間与えたマウスそれぞれの赤血球を加えた。
 マクロファージが貪食した赤血球数を比較したところ、アサイゲルマニウムを添加したマクロファージで貪食能が高いことを確認した(図2A 白無地 vs 緑無地、白斜線 vs 緑斜線)。
 また、アサイゲルマニウム添加の餌を与えたマウスは、通常の餌を与えたマウスに比べ、マクロファージに食べられる赤血球の数が減少していた(図2A 白無地 vs 白斜線)。アサイゲルマニウムを与えたマウスでは、生体内の免疫細胞が活性化されたために、マクロファージが貪食する対象である老化赤血球が体内で既に貪食されて少なくなっている可能性を示唆している。
 さらに、アサイゲルマニウムをマクロファージに添加し、赤血球の分解によって生じるヘムを代謝する酵素の遺伝子(Hmox-1、Hmox-2)発現にどのような変化があるかを調べた。その結果、図2B、Cに示すように、アサイゲルマニウムによって、ヘム代謝酵素の遺伝子発現が増加することがわかった。加えて、ヘムを分解する酵素(HMOX-1)のタンパクの発現についても確認したところ、発現量が増加していたことから、アサイゲルマニウムによってマクロファージの貪食能が亢進したことを確認した。(図2D)

図2 THGP処理によるマクロファージの赤血球貪食・分解能に与える影響

(2).糞便の色の変化による赤血球分解促進の確認

 アサイゲルマニウムによる赤血球に対するマクロファージの貪食能亢進作用は判明したが、赤血球が分解されたことを裏付けるため、赤血球の分解物について調べた。
 赤血球の分解物の一つである色素は、ほとんどが糞便中に排出される。そこで、アサイゲルマニウムを添加した餌と、添加していない餌を与えたマウスの糞便の色を観察した。その結果、アサイゲルマニウムを与えたマウスでは、糞便が黄色に変化した。

図3 通常食とアサイゲルマニウム含有食の糞便の比較写真 (アサイゲルマニウムの摂取により、マウスの糞便の色が黄色に変化したことが伺える)

 さらに、糞便中の赤血球由来の代謝色素であるビリルビン、ステルコビリノーゲン、ステルコビリンの量を測定した結果、アサイゲルマニウムを添加した餌を与えたマウスでステルコビリノーゲン、ステルコビリンの増加を確認した。(図4A,B)

 これらの代謝色素は、抗酸化能を有することが知られているため、糞便の抗酸化能(ラジカル消去活性)を調べたところ、アサイゲルマニウムを与えたマウスの糞便で有意に増加した。(図4C)

図4 アサイゲルマニウム摂取後の糞便中の赤血球代謝色素の含有量およびラジカル消去能の評価

(3).赤血球産生能に与える影響

 アサイゲルマニウムを与えたマウスは、赤血球の分解が亢進していると確認されたが、血液中の赤血球の割合を示すヘマトクリット値を調べたところ、アサイゲルマニウムを与えていないマウスとの差は認められなかった。(図5A)
 すなわち、分解と共に造血能が亢進していると考えられるため、マウスの骨髄細胞の赤芽球コロニー形成能を調べたところ、アサイゲルマニウム摂取後4日目に有意に増加し、7日目には元の値に戻ることが確認された。(図5B)

 これは、生体の恒常性の働きにより、分解された赤血球を補うように赤血球の産生が高まった後、7日後には赤血球の分解が収束してきたため、元の産生能に戻ったことが示唆される。
 これらの結果から、アサイゲルマニウムを摂取して赤血球の分解が亢進されても、血液中の赤血球量は維持されることが明らかになった。

図5 ヘマトクリット値の比較評価及び骨髄細胞の赤芽球コロニー形成能の評価

◆武田知也浅井ゲルマニウム研究所研究部生物室長のコメント 
 赤血球は、体全体に酸素を運ぶ重要な細胞である。だが、常にさまざまなストレスにさらされていて、それにより生化学的、構造的変化を起こし、酸素運搬能等の機能が低下する。
 特に、加齢により造血機能が低下すれば、血液中の老化した赤血球の割合が増加し、赤血球機能の低下による老人性貧血や血流障害が引き起こされると言われている。
 今回の論文では、アサイゲルマニウムの赤血球代謝促進作用が明らかにされ、それらの病気の予防に役立つことや、体内の酸素輸送の改善により、細胞から構成される各臓器が正常に機能し、運動パフォーマンスの向上や疲労回復につながる可能性が示唆された。
 また、赤血球の分解で生じた色素は強い抗酸化能を有するため、腸管内での酸化ダメージを抑制し、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)を緩和する可能性も期待される。

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