ストレスが低い人は飲酒頻度「1~3日/週」に集中 ドクタートラスト

ドクタートラストのストレスチェック研究所は、2022年度にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、飲酒頻度の回答が得られた約5600人のデータをもとに、1週間あたりの飲酒頻度とストレス度合の関係性を調査した。
 同調査は、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者200万人超のデータを活用したさまざまな分析の一環として行われたもの。調査結果のポイントは、次の通り。
・ 飲酒頻度「毎日」の群は、高ストレス者率が最も高い

◆飲酒頻度「1~3日/週」の群は、高ストレス者率が最も低い

◆飲酒頻度「1~3日/週」の群よりも、「毎日」の群のほうが不良回答率が高い

◆飲酒頻度「全くない」よりも、「1~3日/週」の群のほうがストレス反応は低い

 ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促し、また、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定され、2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられている。
 ドクタートラストの提供するストレスチェックサービスでは、ストレスチェックと同時に、生活習慣に関する6つの設問が追加できる。
 今回は生活習慣設問の一つである「飲酒頻度」について、「高ストレス者率」、「各設問への回答」の関係をそれぞれ分析した。

図1

 図1は、調査対象約5600人の「飲酒頻度」への回答内訳である。最も多かったのは「全くない」、以下「1~3日/週」、「毎日」、「4~6日/週」であった。

高ストレス率が最も高いのは、飲酒頻度「毎日」の群、高ストレス者率が最も低いのは「1~3日/週」の群

 高ストレス者率とは、実際に受検をした人の中で、高ストレスと判定された人がどれくらいいるかを示した割合である。

<高ストレス者とは>
・ ストレスの自覚症状が高い人
・ ストレスの自覚症状が一定程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポート状況が著しく悪いと判定された人

図2

図2
 図2は飲酒頻度別の高ストレス者率である。高ストレス者率が最も高かったのは、飲酒頻度「毎日」の群18.8%であった。以下、「全くない」の群16.6%、「4~6日/週」の群16.4%と続き、高ストレス者率が最も低かったのは「1~3日/週」の群14.1%と続く。

飲酒頻度「毎日」の群のほうが「週1~3日/週」の群にくらべて不良回答率が高い

図3


 ストレスチェックは、各設問に対して「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」の4択形式で回答する。同分析では、「そうだ」「まあそうだ」を良好な回答群、「ややちがう」「ちがう」を不良な回答群として算出している。
 図3は、高ストレス者率が最も高かった飲酒頻度「毎日」の群と、最も低かった「1~3日/週」群の不良回答率の差が大きかった設問である。
 不良回答率の差が大きかった上位5つの設問は、「一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ」(差は9.4%)、以下「私は上司からふさわしい評価を受けている」(同8.9%)、「あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?(上司)」(同8.1%)、「活気がわいてくる」(同7.9%)、「あなたの個人的な問題を相談したらどのくらいきいてくれますか?(上司)」(同7.6%)であった。

飲酒頻度「1~3日/週」の群よりも「全くない」の群のほうが、ストレス反応は不良傾向

図4

 ストレスチェックでは、ストレス反応を問う設問が29問用意されている。同分析では、各設問に対して、「そうだ」「まあそうだ」を良好な回答群、「ややちがう」「ちがう」を不良な回答群として算出している。
 図4は、飲酒頻度が「全くない」の群と「1~3日/週」の群のストレス反応における不良回答差が大きかった設問である。これらの設問すべてにおいて「1~3日/週」の群よりも「全くない」の群のほうが、不良回答率が高く、全国平均と比較しても「全くない」の群は不良傾向にあることがわかった。

※全国平均は、2022年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した410,352人から算出

【総括】
 1週間あたりの飲酒頻度と高ストレス者率を調査したところ、高ストレス率が最も高いのは、飲酒頻度が「毎日」の群、最も低いのは「1~3日/週」の群という結果になった。
 さらに、この2つの群について不良回答率を比較したところ、職場の活気や上司との関係、個人の尊重に関わる設問において、飲酒量「毎日」の群が特に不良傾向であることがわかった。
 なお、飲酒習慣の有無でのストレス反応における不良回答率を比較したところ、「全くない」の群よりも「1~3日/週」の群が良好傾向にあった。
 少量のアルコール摂取は気持ちをリラックスさせる作用がある一方で、多量摂取すると心身に悪影響を与える。たとえば、アルコール依存症や、うつ、臓器への障害のほか、生活習慣病やがん、脳萎縮や認知症など、健康面でのリスクが非常に高くなる。
 社員一人ひとりが健康にいきいきと働くためには、飲酒への正しい知識を持つことが重要だ。飲酒のメリット、デメリットを考えた上でお酒と上手に付き合っていけるよう会社としてもサポートしていこう。
(監修:根本裕美子ドクタートラスト保健師)

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