MSDは4日、抗PD-1抗体キイトルーダについて、P3相KEYNOTE-564試験において、腎摘除術後の特定の腎細胞がん(RCC)に対する術後補助療法として、プラセボと比較して全生存期間(OS)を有意に延長したと発表した。
腎摘除術後の再発リスクが中~高度(intermediate-high)もしくは高度(high)、または腎摘除術および転移巣切除術後のRCC患者に対する術後補助療法として、重要な副次評価項目の全生存期間(OS)の延長を達成したもの。
独立データモニタリング委員会による事前に規定された中間解析評価に基づき、キイトルーダはプラセボと比較してOSの統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。
キイトルーダの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験における安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。同社では、これらの結果を今後、医学学会で発表し、規制当局に提出していく。
キイトルーダで早期がんに対するOSの延長が認められたのは、先日の2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表したKEYNOTE-671試験における早期(II期、IIIA期、IIIB期)非小細胞肺がんのデータに続き2件目となる。
KEYNOTE−564試験では、事前に規定した中間解析、フォローアップ期間の中央値23.9カ月の時点で、主要評価項目であるDFSの延長を達成し、疾患の再発または死亡のリスクがプラセボと比較して32%(HR=0.68 [95% CI, 0.53-0.87]; p=0.0010)低下した。
このDFSの結果は2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で初めて発表され、米国、欧州連合、日本やその他世界各国でキイトルーダがRCCの術後補助療法として承認される裏付けとなった。
MSDでは、RCC領域における幅広い臨床開発プログラムを実施しており、キイトルーダの単剤療法および併用療法に加え、経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤であるWELIREG(belzutifan)といったいくつかの他の治験薬や既承認薬について、術後補助療法および進行がんを含む多彩なステージを対象に開発を進めている。
◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部グローバル臨床開発部門進行がん担当責任者かつシニアバイスプレジデント(博士)のコメント
当社は、複数の早期がんに対するキイトルーダの可能性を評価しており、疾患の再発を抑制し、究極的にはOSを延長できると期待している。
EYNOTE-564試験の新たな結果は注目に値するものであり、手術後の再発リスクの高いRCC患者さんに対し、プラセボと比較してOSが統計学的に有意に延長した初の試験となる。
この試験では優れたDFSの結果も得られており、これに基づき、このキイトルーダレジメンは世界中で承認されている。