WELIREG 進行腎細胞がんP3試験で好結果 MSD

 MSDは17日、WELIREGについて、前治療歴のある進行腎細胞がん(RCC)を対象としたP3試験において、エベロリムスと比較して無増悪生存期間と客観的奏効率を有意に改善したと発表した。
 PD-1/L1と血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする治療後に進行した成人のRCCの治療薬として、ファーストインクラスの経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤WELIREGを評価するP3相LITESPARK-005試験の結果を公表したもの。
 WELIREGは、2つの主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)と主な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)について、エベロリムスと比較して統計学的に有意な改善が認められた。この最新の結果は同日、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会の一般演題の中から選ばれた演題セッションで初めて発表されるとともに、世界中の規制当局と協議が進んでいる。
 LITESPARK-005試験では、事前に規定された1回目の中間解析(IA1、追跡期間の中央値:18.4カ月[範囲:9.4〜31.7カ月])において、WELIREGはエベロリムスと比較して対象患者さんの疾患進行または死亡のリスクを有意に25%低下させた(HR=0.75 [95% CI, 0.63-0.90]; p<0.001)。
 事前に規定された2回目の中間解析(IA2)の結果はIA1の結果と一貫していた。IA2における追跡期間の中央値は25.7カ月(範囲:16.8〜39.1カ月)で、WELIREGはエベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクを26%低減した(HR=0.74 [95% CI, 0.63-0.88])。
 また、WELIREG群では、IA1においてORRが統計学的に有意に改善した。WELIREG群ではORRは21.9%(95% CI, 17.8-26.5)、CR率は2.7%であったのに対し、エベロリムス群ではORRは3.5%(95% CI, 1.9-5.9)で、完全奏効(CR)が得られた患者はいなかった。
 IA2においては、WELIREG群ではORRは22.7%(95% CI, 18.6-27.3)、CR率は3.5%であったのに対し、エベロリムス群ではORRは3.5%(95% CI, 1.9-5.9)で、CRが得られた患者はいなかった。
 また、この試験のもう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についても、IA1(HR=0.87 [95% CI, 0.71-1.07]; p=0.096)、IA2(HR=0.88 [95% CI, 0.73-1.07]; p=0.099)においてWELIREGはエベロリムスより良好な傾向を示したが、統計学的な有意差はなかった。

◆LITESPARK-005試験治験責任医師のローレンス・アルビジーズ教授(Gustave Roussy Cancer Medicine Department部長)のコメント
 免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の両方を標的とする治療後に進行したRCCの患者さんに対する治療の選択肢は限られている。そのため、この試験において、疾患進行後のさらなる治療の選択肢を喫緊に求めている患者さんに対し、belzutifanがエベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクを統計学的に有意に低下させ、奏効率が改善したことは重要な前進である。

◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部グローバル臨床開発部門進行がん担当責任者シニアバイスプレジデントのコメント
 今回の結果は、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬による治療後に進行したRCCを対象とするP3試験として初めて示された良好なデータであり、WELIREG臨床プログラムから初めて出たP3試験データでもある。
 この最新の研究によりWELIREGが対象患者さんのアウトカムを改善する可能性が示された。当社は、WELIREGを含む様々な新規の作用機序を評価する強力な臨床開発プログラムをとおして、難治性のがんに対する研究を推進する取り組みをさらに進めていく。

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