新規がん治療薬開発で米国Propella買収 アステラス製薬

 アステラス製薬は16日、未上場のバイオ医薬品企業Propella(米国)を買収すると発表した。Propellaは、創薬化学とリンパ系への送達を組み合わせた独自のプラットフォームを通じて新規がん治療薬の創出を目指す米国スタートアップで、アステラス製薬が米国子会社を通じて買収に合意し、契約を締結した。
 同買収により、アステラス製薬はPropellaが前立腺がん治療薬として開発中の次世代アンドロゲン合成阻害剤PRL-02(化合物名:アビラテロンデカン酸エステル)を獲得する。
 同買収契約に基づき、アステラス製薬は、Propellaの発行済み株式等を取得するための対価として約1億7500万ドル(265億円)を支払う。今後、アステラス製薬は必要な法的諸手続きを経て、2024年3月期中に買収を完了する予定だ。
 なお、同買収によるアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績への影響は軽微である。
 PRL-02は、アビラテロンの長時間作用型の新たなプロドラッグで、筋肉内投与後、標的組織内で高濃度になり、有効成分であるアビラテロンが持続的に放出されることが期待される。 PRL-02は、CYP17リアーゼ阻害への選択性を高めることで、既存の治療選択肢と比較して有効性および安全性が改善する可能性がある。PRL-02は現在第I相試験が進行中であり、2024年中にP2a試験を開始予定である。

◆岡村 直樹アステラス製薬の代表取締役社長CEOのコメント
 本買収は、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する治療薬を患者さんに届けるというアステラスの戦略に合致する。Propellaは前立腺がんを対象とした有望なプログラムPRL-02を有している。
 アステラス製薬のがん、泌尿器領域におけるグローバルでの開発・商業化ケイパビリティとの相乗効果でPRL-02の開発を加速し、前立腺がん患者さんへ新たな『価値』を届けることができると確信している。

◆William Moore Propella President & CEOのコメント
 Propellaは、臨床活性と安全性を低下させることが知られている他のステロイドへは大きな影響を与えずに、前立腺がんの主な要因であるアンドロゲン合成を正確に阻害する、高い選択性を持った独自の阻害剤の研究開発に注力してきた。
 我々は、アステラス製薬が、潜在的なベストインクラスの前立腺がん治療薬としてPRL-02を高く評価し、更なる開発を進めることを大変嬉しく思う。世界中の前立腺がん患者に新たな治療選択肢を提供するために、アステラス製薬のPRL-02の開発計画を全力で支援していく。

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