米国遺伝子治療薬CDMOのForge社を約828億円で買収 味の素

 味の素は13日、米国遺伝子治療薬CDMOのフォージバイオロジックス社(Forge社、本社:米国)を約828億円で買収すると発表した。
 同社連結子会社の味の素北米ホールディングス社(ANH社)を通じて、フォージバイオロジックス社の全持分を約5億5400万米ドル(約828億円)で取得し、完全子会社化する合併契約締結したもの。
 買収は、米国における規制法令上の許可等の取得、その他合併契約に定める一般的な前提条件の充足を条件に本年12月実行を予定している。
 味の素は、今年2月に発表した中期ASV経営2030ロードマップにおいて、アミノサイエンスの強みを活かした4つの成長領域を掲げており、ヘルスケア領域はその1つとなる。
 ヘルスケア領域では、アミノ酸及び低分子医薬CDMOの既存事業の確実な成長に加えて、核酸医薬・バイオ医薬品CDMO事業や再生医療・抗体用培地、メディカルフード事業等による成長加速を見込んでいる。
 さらに、中長期的な視点から、先端モダリティーにおける成長の布石として、遺伝子治療薬CDMOを次世代の戦略事業の一つとして位置付けている。
 遺伝子治療とは、体内の遺伝子を修正・追加することで、病気の原因となる遺伝子異常を治療する医療技術のことで、主に既存の治療法では十分な治療が難しい遺伝性の疾患を対象としている。
 遺伝子治療領域の中でも、安全性の高い、アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus、AAV)を用いた治療方法は、米国を中心に100件以上の臨床試験が行われるとともに、7つの新規医薬品が承認されている。今後の臨床試験数およびそれに伴う承認薬の増加によって、遺伝子治療薬CDMO市場の拡大が見込まれている。
 また、AAVベクター製造には、高度な技術的ノウハウと専用の製造設備が必要になる等、技術的差別化が可能な市場であり、需要量が供給量を上回る状況が当面続くと見込まれているす。
 Forge社は、遺伝子治療薬製造バリューチェーン上の2つの要所であるAAV製造とプラスミドDNAの製造能力を有する遺伝子治療薬CDMOで、高純度・高収率のAAVベクター生産技術を有している。
 これにより、多数のバイオテック企業の初期臨床向けにGMP生産を行い、製造実績を確実に積み上げることで、ここ数年で急成長・急拡大を遂げており、今後も継続的に成長する見込みだ。
 また、同社は希少疾患の中でも患者数の多い疾患に対応し商業生産が可能な世界最大規模の製造技術・設備を有しており、既存の設備に加え、今後も更なる事業拡大に対応できるよう、同社の製造施設内に拡張可能なスペースを有している。
 今回の買収により、味の素グループのアミノサイエンスとForge社の技術開発力を融合することで、希少疾患で困難を抱える人々に新たな治療法の道を開き、パーパス(志)である人・社会・地球のWell-being貢献を目指す。
 加えて、遺伝子治療薬製造におけるサプライチェーンの最適化や、当社の特許技術に基づく最適化培地の開発・提供による生産性や品質の向上、さらに、Forge社の遺伝子治療薬製造ノウハウの展開による細胞治療領域への参入など、強固な先端医療分野のプラットフォームが構築可能となるす。
 これにより、2030ロードマップの早期実現を目指し、更に2050年を見据えて、これまで培った技術・顧客を基盤として、次世代の事業領域に進出することで、付加価値の高い事業モデルへの転換を進め、ヘルスケア領域の成長加速と高収益化を推進する。
 なお、同件による味の素の当期の連結業績に与える影響は軽微である。また、来期の連結業績予想は、当期末決算発表時に告知する。

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