武田薬品は9日、発達障害の特性を持つ学生4人を対象とした体験プログラムを実施したと発表した。同プログラムは、参加学生が本プログラムを通じて「働くイメージ」を持つことを目的に8月30日から9月1日までの3日間実施されたもの。
同社は、発達障害の特性を持つ方々が生きやすく活躍できる社会を目指して、従業員を対象としたセミナーなどの啓発活動を展開。また、社外向けには、ウェブサイト「大人の発達障害ナビ」や「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」を運営するなど、さまざまな活動を実施している。
同プログラムは、その活動の一環として、パーソルダイバースの協力のもと、パーソルダイバースが無償で実施しているコミュニケーション・サポート・プログラム(CSP)に参加している学生の中で発達障害の特性を持つ方を受け入れ実施した。
CSPは、コミュニケーションに課題を感じている大学生以上の方を対象にし、さまざまな体験を通じて自己理解を深め、自分の選択肢を知り、社会に出るための一歩を歩みだす場を提供するプログラムである。
3日間の体験プログラムにおいて参加学生は、社会人のコミュニケーションの基本である報告・連絡・相談、社会人の日々のさまざまなタスクの優先順位付けについて個人ワークやディスカッションを通じて学んだ。
その後、同社における多様な働き方(出社勤務・在宅勤務)のメリット・デメリットなどに関して当社従業員を交えてディスカッションを行い、会議においてプレゼンテーションを行うなど、チームとしての働き方の提案を行った。
その結果、参加学生からは、「議論の進め方やグローバルな働き方・お互いに配慮しあって働く姿を見て、会社で働くイメージを持つきっかけになった」、「思っている以上にコミュニケーションを恐れすぎなくてよいと思えた。体験を通して自分の考えを発信したり、相手の意見を聞くことが楽しいかもと思えた。今まではコミュニケーションを避けようという気持ちがあったが、今後は積極的にコミュニケーションを取りたい」、「誰かに相談することの重要性に気付けた。何とか相談してみようと思えるきっかけになった。議論の中では話題に入るのが遅れてしまうことがあるため自分から積極的に話す必要があると気付いた」などの声が寄せられた。
一方、同プログラムに携わった武田薬品従業員からは、「テンポよく意見交換をする学生もいれば、会話をしっかり飲み込んでから回答する学生もいた。今回は、口頭でのディスカッションが可能だったが、意見交換する際に文字ベースでやったほうが良い、リモートワークや対面の方が良いなど個人個人に応じた方法を考えて対応すべきと思った」、「仕事がしやすい環境を尋ねた際、学生さん4名の選択がバラバラだった。発達障害の特性を一般化し、自分の考えで線引きしたり、遠慮したりせずに、個人個人の特徴や希望を把握することが重要と感じた」、「短い間であったが、できる限り個々の特性に応じた配慮を行い、学生さんにとって心理的安全性が保たれたプログラムを実施できたと思う。ディスカッションを通じてチームとしての提案ができたため、環境が整えば十分に活躍できると感じた」、「このプログラムで得られた気付きは、発達障害の特性のある方との関わりだけではなく、日々の業務における社員間の関わりにおいてもすぐに活かせる」などの声を収集。 実際に特性を持つ学生と接することで多くの学びが得られ、特性のある方が思う存分能力を発揮するためには、受け入れ側である企業がしっかり準備して、体制を作ることが重要であることを再認識できる機会となった。
武田薬品は、引き続き発達障害の特性を持つ人材が活躍できる社内文化の醸成および社会における発達障害・ニューロダイバーシティの理解の推進のために尽力していく。