タグリッソと化学療法との併用療法 転移性肺がんP3試験で脳転移巣病勢進行リスクを42%低下 アストラゼネカ

 アストラゼネカは、タグリッソと化学療法との併用療法について、脳転移を有する EGFR 遺伝子変異陽性局所進行または転移性肺がんのP3試験(FLAURA2 試験)において、脳転移巣の病勢進行リスクを42%低下させたと発表した。
  盲検下独立中央判定(BICR)の評価では、タグリッソと化学療法の併用療法はタグリッソ単剤療法と比較して、局所進行または転移性の上皮成長因子受容体変異(EGFRm)のNSCLCでベースライン時に脳転移を有していた患者(同臨床試験参加患者の 40%)の中枢神経系(CNS)における無増悪生存期間(PFS)を 42%改善した。
 今回の結果は10月21 日、スペインのマドリッドで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された)。
 BICRの評価において、タグリッソと化学療法の併用療法は、タグリッソ単剤療法と比較してCNSの病勢進行または死亡リスクが 42%減少した(ハザード比[HR]0.58;95%信頼区間[CI]0.33-1.01)。
 2 年時点における CNS での病勢進行または死亡が認められなかった患者の割合はタグリッソと化学療法の併用療法群では74%であったのに対し、タグリッソ単剤療法群では54%であった。
 また、CNSでの完全奏効(CR)が認められた患者の割合も、タグリッソ単剤投与群で43%、化学療法との併用療法群で59%という結果が示された。
 化学療法を併用した場合のタグリッソの安全性プロファイルは概ねコントロール可能であり、有害事象はタグリッソと化学療法併用群の方が発現率が高かったものの、併用療法群で見られた有害事象は各薬剤において確立されたプロファイルと一貫していた。
 同試験において、タグリッソが投与中止に至った割合は化学療法併用群では11%、タグリッソ単剤療法群では6%であった。タグリッソと化学療法併用群において、タグリッソ投与期間の中央値は22.3カ月間であり、白金製剤を含む化学療法の投与期間の中央値は2.8カ月間、ペメトレキセドの投与期間の中央値は 8.3 カ月間であった。
 2023年世界肺癌学会で発表されたP3相FLAURA2試験のPFSデータに基づき、局所進行または転移性 EGFRm NSCLC 成人患者の一次治療として、今月初めに米国FDAより化学療法を併用したタグリッソの優先審査指定を取得している。さらに、本年8月には、同設定においてタグリッソと化学療法の併用療法が FDA からブレークスルー・セラピーの指定を受けている。

◆FLAURA2試験治験責任医師のDavid Planchard (Gustave Roussy Institute of Oncologyの胸部腫瘍医)のコメント
 タグリッソは血液脳関門を通過することができ、脳転移のない患者さんよりも予後不良となることが多い中枢神経系への転移を伴う肺がん患者さんの転帰を改善することが証明されてる。
 FLAURA2 試験では、タグリッソに化学療法を併用することで、中枢神経系への転移を伴う患者さんの半数以上で完全奏効および脳内の腫瘍消失が認められた。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回の結果から、ベースライン時に脳転移を有していた患者さんに FLAURA2 レジメンを用いたところ意義のある結果が認められ、脳にがんが転移した患者さんに希望をもたらした。
 これらのデータは、FLAURA 2 試験における無増悪生存期間の良好な最新結果に基づいており、EGFR 遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおける中心的治療としてのタグリッソの効果をさらに補強するものである。

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