ブリストル・マイヤーズ スクイブは、ROS1 阻害剤であるレポトレクチニブについて、ROS1 融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)を適応症として厚労省に製造販売承認申請した。
今回の承認申請は、国際共同P1/2試験(TRIDENT-1 試験)の結果にもとづくもの。
厚生労働省「人口動態統計」によると、肺がんはがん関連死亡原因の第1位で、2021 年のがん関連死約38万人のうち、約20%にあたる7万6212人(男性5万3278 人、女性 2万2934人)が肺がんによって死亡している。
また、NSCLCは、肺がん全体の約 85%を占めており、NSCLC 患者の約1%~2%が、制御不能な細胞増殖をもたらす ROS1 遺伝子の変異を特徴とする ROS1融合遺伝子陽性疾患を呈する。
レポトレクチニブ(BMS-986472、TPX−0005)は、ATP 競合性の ROS1、TRK A/B/C を選択的に阻害する経口の低分子チロシンキナーゼ阻害剤で、TRIDENT-1は、NSCLCを含むROS1、NTRK1~3又はALKの遺伝子再構成を有する進行性固形がん患者を対象に、レポトレクチニブ(TPX-0005、BMS-986472)の安全性、忍容性、薬物動態、抗腫瘍活性を評価する国際共同P1/2試験である。
同試験の第1相パートの評価項目には、安全性と薬物動態の評価項目が含まれている。同試験の第2相パートでは、ROS1融合遺伝子陽性のNSCLC及びNTRK融合遺伝子陽性進行固形がんを対象に有効性及び安全性を評価し、RECIST v1.1を用いた盲検下独立中央判定(BICR)による奏効率(ORR)を主要評価項目としている。
レポトレクチニブの臨床開発は、Turning Point Therapeutics社によって 2017 月2月より開始され、2022 年8月の買収以降は、Bristol Myers Squibb が開発を継続している。
国際共同P1/2相試験(TRIDENT-1 試験)の結果を基に、米国では ROS1 融合遺伝子陽性NSCLCを適応症とした製造販売承認申請を行い、Priority Review に指定され、2023 年 10 月現在審査中である。
◆杉田真ブリストル・マイヤーズ スクイブ研究開発本部長のコメント
ROS1 融合遺伝子陽性の進行 NSCLC の治療には、いくつかの既存の治療法があるものの、薬剤への耐性発現や脳転移といったアンメット・メディカルニーズに対応する新たな治療選択肢が求められている。
近い将来、レポトレクチニブが、ROS1 融合遺伝子陽性の NSCLC 患者さんにとっての新たな治療選択となることを期待している。