第一三共は24日、ダトポタマブ デルクステカンについて、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現または陰性の転移性乳がん患者を対象としたP3試験(TROPION-Breast01)の中間解析において、主要評価項目の一つである無増悪生存期間は延長し、全生存期間は統計学的に有意な改善を示しておらず、引き続き評価を継続すると発表した。
同データは、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表したもの。有効性について、本試験の主要評価項目の一つである無増悪生存期間の中央値は、同剤投与群において6.9ヵ月で、化学療法投与群の4.9ヵ月に対し、病勢進行または死亡リスクを37%低下させた。
もう一つの主要評価項目である全生存期間については、同剤投与群は化学療法投与群に対し改善傾向が認められたものの、本中間解析時点では統計学的に有意な改善を示しておらず、引き続き評価が継続される。
客観的奏効率は、同剤投与群365名において36.4%、化学療法投与群367名においては22.9%であった。
安全性について、新たな懸念は認められず、同剤の他試験と同様の傾向であった。グレード3以上の薬剤に関連した有害事象は、同剤投与群において21%、化学療法投与群では45%の患者にみられた。間質性肺疾患(ILD)について、ILD外部判定委員会により同剤と関連のあるILDと判定された事象の発生率は、全体において低率(3%)で、大部分は低グレードであった。そのうち1名が、同剤と関連のあるグレード5(死亡)と判定された。
第一三共とアストラゼネカは、HR陽性かつHER2低発現または陰性の乳がん患者さんへ同剤を提供できるように同試験結果に基づき、同剤の承認申請に向けた準備を進めている。