アンジェスは18日、 NF-κB デコイオリゴ DNAについて、日本国内で慢性椎間板性腰痛症を対象としたP2試験の投与を開始したと発表した。
同試験は、慢性椎間板性腰痛症患者における痛みの改善評価を目的としたもので、目標症例数は 92 例。
NF-κB デコイオリゴ DNA は、2018 年 2 月に米国で椎間板性腰痛症の患者を対象とした後期P1試験を開始し、2021年4月に得られた結果では、重篤な有害事象(SAE)は認められず、高い安全性が確認された。
有効性についても探索的にデータを評価したところ、投与早期より腰痛は大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヵ月後まで継続した。これらの結果をふまえ、日本国内においてP2試験の実施を決定し、その準備を進めてきた。 また、アンジェスは、このP2試験への協力について、2023 年3月 20 日に塩野義製薬との間で契約を締結した。
NF-κBとは、活性酸素などによる酸化ストレスなどの刺激が外部から与えられた時に、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子である。NF-κB デコイオリゴ DNA は、この NF-κB 転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制し、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患の治療における有効性が期待されている。
これまで慢性椎間板性腰痛症に対する治療は、消炎鎮痛剤などによる対症療法が中心であったが、NF-κB デコイオリゴ DNA は過剰な炎症反応や免疫反応を惹起する原因物質を抑制するため、椎間板変性症などの疾患進行を抑える効果が期待される。
なお、同件は、2023年12月期の連結業績予想に織り込んでおり、同社グループの連結業績予想への影響はない。今後、開示すべき事象が発生した場合には速やかに公表する予定である。