フェスゴ 乳がん・大腸がんで製造販売承認取得 中外製薬

 中外製薬は25日、抗悪性腫瘍剤「フェスゴ」について、「HER2陽性の乳癌」および「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能・効果として、同日、厚労省より製造販売承認を取得したと発表した。
 同剤は、パージェタおよびハーセプチンに含まれるモノクローナル抗体とボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の溶液が1本のバイアルに含まれ、調製不要の固定用量による投与が可能な配合皮下注製剤である。
 薬剤投与時間(経過観察等を除く)は、パージェタとハーセプチンの静注製剤を続けて投与する場合、初回は約150分、2回目以降は60~150分に対して、フェスゴの投与時間は、初回は8分以上、2回目以降は5分以上である。なお、初回投与の忍容性が良好な場合、両剤とも30分まで短縮できる。
 今回の承認は、HER2陽性乳がんを対象にフェスゴの薬物動態、有効性および安全性を評価した日本を含む国際共同P3試験(FeDeriCa試験)、同じくHER2陽性乳がんを対象に、フェスゴの患者選好度および皮下投与の満足度を評価した海外P2試験(PHranceSCa試験)等の成績に基づくもの。フェスゴの日本における開発は中外製薬が実施しており、国内からFeDeriCa試験に参加している。
 FeDeriCa試験において、フェスゴと、パージェタおよびハーセプチンの静注製剤におけるパージェタの血中濃度に関する非劣性(薬物動態)が検証された(主要評価項目)。主な有害事象は、脱毛症(フェスゴ群77%、静注製剤群70%、以下同順)、悪心(59%、60%)、下痢(58%、55%)、貧血(34%、41%)であった。
 また、PHranceSCa試験の評価対象となった85%(136/160名)の患者において、パージェタおよびハーセプチンの点滴静注製剤による併用より本皮下注製剤が好まれ、最も多い理由として診療時間の短縮が報告されている。

◆奥田修中外製薬代表取締役社長CEOのコメント
 HER2陽性乳がんの標準治療薬であるパージェタおよびハーセプチンの配合皮下注製剤であるフェスゴが、日本においても承認されたことを嬉しく思う。
 投与時間の短縮は、患者さんの利便性向上および医療現場の負担軽減につながることが期待される。本剤をいち早く治療にお役立ていただけるよう、発売に向け準備を進めていく。

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