創立45周年記念研究助成授賞式開催し、3名の対象者に贈呈書授与 ケー・エー・シー

あいさつする北村社長

 実験動物の飼育管理、動物実験受託業務、研究用試薬提供、バイオ研究・技術者派遣などを主業務とするケー・エー・シーは4日、京都市内のホテルで創立45周年記念研究助成授賞式を開催し、3名の対象者に贈呈書を授与した。
 同社は、研究施設の実験動物飼育管理業務の受託事業を主な事業として1978に創立され、以来バイオ研究を支援する事業を堅調に展開。「バイオサイエンスのトータルサポートを通じて健康社会に貢献する」企業として、本年11月、創立45周年の節目を迎える。
 研究助成事業は、創立35周年の際に「同社が長年実験動物に関連する事業を継続できたことへの返礼の想い」を込めて、初めて実験動物分野に特定して実施したもの。実験動物に関する分野に特化した研究助成や賞は少なく、多くの研究者から「歓迎」と「研究助成継続を要望する」声が寄せられ、以後5年ごとに実施している。
 今回は、田中美有氏(大阪公立大学大学院獣医学研究科助教)、田村友和氏(北海道大学大学院医学研究院助教)、藤井渉氏(東京大学大学院農学生命科学研究科助教)の3名が研究助成対象者として選出された。助成金は1件120万円。
 授賞式では、北村典代表取締役社長が、「創立45周年記念研究助成では、特に未来を担う若手研究者を対象に選考させて頂いた」と述べ、「いずれも素晴らしい研究テーマで、主催者としても非常に嬉しく思う」と強調した。
 さらに、「ここ3年以上に渡るコロナ禍において、我々は日本がワクチンをはじめとして医薬品開発を海外に依存しなければならない現実を見せられてきた。日本において医薬品の研究・開発の基盤をしっかり持たなねばならないとの思いを強くした」と断言。
 その上で、「実験動物は、非常に地味で基礎的な分野であるがなくてはならない。ケー・エー・シーは、それを支える企業としても頑張って行きたい。先生方も、今後とも是非素晴らしい研究をされて日本の医薬研究基盤の向上に貢献されることを祈念している」とあいさつした。

久和氏

 続いて、久和茂東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授が今回の審査選考について、「多くの若手研究者の応募の中から、私を含む5名の審査員が一つひとつ丁寧に審査を重ねて3名を決定した」と説明。
 さらに、「私の恩師の藤原公策先生は、『実験動物は縁の下の力持ちである』と言っておられた。実際、新型コロナRNAワクチン開発やiPS細胞の樹立もマウスを使った細胞によって行われており、藤原先生もそのことを訴えられていたと思う」と実験動物の重要性を訴求した。
 終わりに、ケー・エー・シーに対して「実験動物関係の研究者は研究費を集めるのに苦労している。できるだけ長く継続して頂きたい」と要望。助成対象者には、「3名の研究が無事進捗し、素晴らしい成果が得られることを期待している」と呼びかけた。


 45周年記念研究助成対象者の研究助成テーマ及び受賞コメントは、次の通り。

◆田中美有氏=「新たに確立した疾患モデルラットを用いた神経軸索ジストロフィーの病態メカニズム解明」

田中氏

受賞コメント:私は、ケー・エー・シー35周年の助成金を授与された指導教官の研究テーマで学位を取った。学位を取って10年近くなるが、若い世代を育てるところにもこの助成金を活用したい。

◆田村友和氏=「デング熱の重症化を解析する動物モデルの開発」

田村氏

受賞コメント:私は、学位を大動物を使って取得したが、それ以降は、マウスによる実験の重要性を感じて、遺伝子組み換えマウスを作成したり、小動物の実験動物開発に従事してきた。デング熱のモデルマウスはまだ無いので、人類にとって重要な「デング熱の疾病コントロールに役立つ研究」を行っていきたい。

◆藤井渉氏=「新たな遺伝子改変技術による長鎖ノックインマウスの高効率な作製系の開発」

藤井氏

受賞コメント:この機会に自分の研究を躍進していきたい。私の研究は、ゲノム編集によって高効率に遺伝子組み換え動物を作成することがテーマである。遺伝子組み換え動物は、長い配列を入れるのが難しく、課題になっている。その課題を解決して、わが国から優良な方法を提案できるように頑張りたい。

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