MSDは31日、肺炎球菌ワクチン未接種の成人および接種歴のある成人を対象として開発中の21価肺炎球菌結合型ワクチンV116について、2つのP3試験(STRIDE-3試験、STRIDE-6試験)で免疫原性と安全性の主要評価項目を達成したと発表した。V116が承認されれば、成人向けに特化した初の肺炎球菌結合型ワクチンとなる。
STRIDE-3試験の結果から、V116は、ワクチン未接種の成人において、PCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)を対照に、両ワクチンに共通の血清型に対して統計的に有意な免疫応答を示した。免疫応答は接種後30日目の血清型特異的オプソニン化貪食活性(OPA)を評価した。V116に特有の血清型に対しても良好な免疫応答が認められた。
さらに、STRIDE-6試験の結果では、試験の1年以上前に肺炎球菌ワクチンを接種した成人において、V116は対応する全21種類の肺炎球菌血清型に対して免疫原性を示した。
いずれの試験においてもV116の安全性プロファイルは対照群と同様であった。これらの結果は、近く医学界に提供し、世界各国における規制当局への承認申請に活用していく。
新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年の米国疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、V116が対応する21種類の血清型は、米国における65歳以上の成人の侵襲性肺炎球菌感染症原因血清型の約85%を占めている。V116が対応する血清型には、既承認の肺炎球菌ワクチンでは対応していない8種類の血清型が含まれている。
V116に特有の血清型は15A、15C、16F、23A、23B、24F、31、35Bで、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年のCDCのデータによると、米国における65歳以上の成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因血清型の約30%を占めている。
◆Eliav Barr MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント グローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサー(博士)のコメント
現在、肺炎球菌結合型ワクチンが利用可能となっていますが、多くの成人、特に、より高齢の方々は今も肺炎球菌感染症のリスクにさらされている。今回得られた結果により、V116が現在承認されているいずれのワクチンも対応していない8種類の血清型も含めて対応を拡大することで、肺炎球菌ワクチンの接種歴に関わらず成人の肺炎球菌感染症に対する予防の重要な新しい選択肢となる可能性が示された。