循環器科医師への働き方改革で取り組むべき対策など指摘 日本心血管インターベンション治療学会

 日本心血管インターベンション治療学会(理事長:上妻謙氏、CVIT)は7月28日、喫緊のテーマとして「医師の働き方改革と循環器救急診療の両立について」を掲げ、今後どのように循環器救急診療に取り組むべきか学会としての提言と、循環器医師へ実施した働き方改革に関する独自のアンケート調査結果を発表するメディア発表会兼セミナーを開催した。
 2024年4月から「医師の働き方改革」がいよいよスタートする。病院に勤務する医師の時間外労働時間の上限規制が適用されるようになり、医療現場にも大きな変革の波が押し寄せている。同セミナーは、約半年後の実施に向けて開催されたもの。
 日本の循環器救急診療は、救命率世界トップレベルといわれている。それは、医師たちの献身的な治療及び治療体制のネットワークと、心臓カテーテル治療(PCI)に携わる医師たちの技術の高さが支えてきた。同セミナーでは、今回の「医師の働き方改革」で起こりうる救急医療崩壊のリスク、タスクシフト・タスクシェアの重要性、さらに諸外国に比べ救命率が著しく高い日本の急性心筋梗塞治療について、海外との比較、日本国内の地域格差などが説明された。
 働き方改革関連法のなかでも、医療分野は国民への影響が非常に大きいと考えられる。今回のメディア発表会兼セミナーは、「医師の働き方改革」により、日本の循環器救急医療現場が今後どのような課題を抱えるのかを理解する機会となった。

上妻氏

 その中で、上妻理事長(帝京大学医学部附属病院循環器内科)は、医師の働き方改革対策で行うべき事項として、「当直による連続勤務の是正」、「宿日直許可による見せかけではない対応策」、「オンコールの待遇改善(翌月末までに代償休息の義務)」、「 タスクシフト・タスクシェアの促進」、「他の職種も十分な人数がいない」、「ICTの利用で効率化」、「診療科の偏在是正対策」、「診療科、診療内容による待遇の差別化」、「専門医機構を利用した地域配分の適正化」を挙げた。
 また、CVITが行うべきと考えている事項としては、「会員の働き方改革に関する知識普及を図る」、「施設の集約化あるいは輪番制の推進」、「医師の再配分の情報提供」、「病院管理者へ循環器内科医待遇改善のための働きかけ」、「 循環器救急医療が不可能な地域の住民に実態を伝える」を指摘した。
 なお、CVIT 第1回働き方改革実態調査(回答施設数合計:601施設)の主な結果は次の通り。

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