小野薬品は4日、オプジーボと化学療法の併用療法について、欧州委員会(EC)より、非小細胞肺がんの術前補助療法として承認を取得したと発表した。
対象は、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が6月29日に公表したもの。
今回のECの承認により、オプジーボと化学療法の併用療法は、この設定における欧州連合(EU)の患者に対する術前補助療法として承認された最初の免疫療法薬による治療選択肢になる。
このECの承認は、オプジーボと化学療法の併用療法の3回投与による術前補助療法が、化学療法単独と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)の改善を示したP3相CheckMate-816試験の結果に基づいている。
オプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されたNSCLCにおける試験のものと一貫していた。
ECの承認により、EUの27加盟国をはじめ、アイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーにおいて、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能なNSCLCの成人患者の術前補助療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法が使用できるようになる。
また、オプジーボと化学療法の併用療法は、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、米国、日本および中国を含む21カ国で承認されており、現在、世界各国の保健当局によって承認申請の審査が進められている。
CheckMate-816試験のpCR、EFSおよび全生存期間(OS)の予備データの主要解析は、以前に学会で発表され、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された。同併用療法による持続的な臨床ベネフィットを示す3年間の追跡データは 2023年欧州肺がん学会で発表された。
オプジーボをベースとした治療選択肢は、現在、EU においてNSCLC(CheckMate -816)、尿路上皮がん(CheckMate -274)、食道/胃食道接合部がん(CheckMate -577)および悪性黒色腫(CheckMate -238)の4 つの異なるがん腫の術前補助療法または術後補助療法として承認されている。
また、早期ステージのがんを対象とした広範な開発プログラムを複数の異なるがん腫で実施している。
◆Nicolas Girard Institut Curie and Paris Saclay大学胸部腫瘍科教授(M.D.)のコメント
切除可能なNSCLC患者さんの中には手術で治癒できる方もいるが、約30~55%の患者さんが手術後に再発を経験し、最終的にはこの疾患で亡くなられるため、再発を予防するのに役立つ手術以外の治療選択肢が強く求められている。
EUで非転移性NSCLCの特定の患者さんの治療にオプジーボと化学療法の併用療法が承認されたことの重要性は、強調してもし過ぎることはなく、がんの治療方法を変える機会を提供し、手術後のがん再発リスクを低下させる解決策を提供する。
◆Anne-Marie Baird Lung Cancer Europe会長兼患者支援者のコメント
早期ステージのNSCLCの治療は進歩してきましたが、まだ多くの患者さんが予後不良に直面している。NSCLC患者さんの最大50%の方が切除可能であり、これは腫瘍は外科的に切除することができることを意味するが、がんの再発を阻止するには手術だけでは必ずしも十分ではない。
早期ステージのNSCLCの分野に新たな選択肢を提供するこの免疫療法薬ベースの併用療法による術前補助療法がEMAにより承認されたことをうれしく思う。
◆Abderrahim Oukessou BMSバイスプレジデント兼胸部がん領域開発担当(M.D.)のコメント
オプジーボと化学療法の併用療法は、EUにおいてNSCLCに対する術前補助療法が承認された最初でかつ唯一の免疫療法薬をベースとした治療選択肢になり、欧州の特定の患者さんに、疾患の再発、病勢進行および死亡のリスク低減に役立つソリューションを提供できるものと期待している。
今回の承認は、がんの早期ステージにおける免疫療法の研究を通じて治療パラダイムを前進させるという当社の取り組みによるものあり、オプジーボをベースとした治療選択肢がさまざまな治療設定および疾患ステージにわたってNSCLC患者さんの予後を変えうるという可能性を裏付けるものである。