オプジーボの特許切れ見据えた欧米自販による成長の重要性強調 小野薬品相良社長

 小野薬品の相良暁社長は23日、大阪市内で開催された第75回定時株主総会で、「2028年米国での特許切れを契機とするオプジーボクリフを乗り越えるには、欧米自販による成長が不可欠になる」と改めて強調した。
 さらに、「欧米市場における複数品上市」の重要性を指摘し、戦略品候補の新薬として、ONO4059(血液がん、上市予定2026年)、イトリズマブ(リンパ腫・白血病、同2026年)、ONO4685(T細胞リンパ腫、同2027~31年)、ONO7018(非ホジキンリンパ腫、同2027~31年)、ONO2910(糖尿病性多発神経障害、同2027~31年)などを紹介した。
 オプジーボは、米国で2028年、欧州で2030年に特許切れし、海外のロイヤリティ収入は段階的に減少していく。日本での特許切れは2031年で、2032年辺りから売上高が減少し、数年で半減するものと予測される。
 相良氏は、国内でのオプジーボ特許切れ対策として、「配合剤や投与経路の簡便化によって、売上減少をなだらかにする」戦略も披露した。
 オプジーボクリフを乗り越えるための欧米自販の重要性については、「国内売上高2848億円、海外売上高1兆2338億円、トータル1兆5186億円」の大手国内企業の売り上げ構成比を例に挙げ、「小野薬品も国内は2882億円と遜色はない。だが、海外での開発・販売はライセンス契約しているためにロイヤリティ収入となり、その結果、売上高は4000億円規模に留まっている」と説明。
 その上で、「日本以外でのオプジーボの売上高は1兆1000億円に上る。もし、オプジーボが自販体制であったなら、単純に合算して当社も1兆3882億円の売上規模になる」と述べ、「オプジーボの特許切れに備えた欧米市場での複数品上市による自販体制の重要性」を重ねて強調した。
 相良氏は、研究開発のためのオープンイノベーションの推進にも言及し、「2022年度は新たに110件の共同研究・委託研究、11件の創薬提携を開始し、新しい創薬候補の取り組み、新たな新薬候補の創生に尽力している」と訴求した。
 

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