リムパーザとイミフィンジ併用療法 進行卵巣がんP3試験で病勢進行・死亡リスク 37%低減 アストラゼネカ

 アストラゼネカは16日、リムパーザとイミフィンジの併用療法について、P3相 DUO-O 試験においてtBRCA遺伝子変異が認められない進行卵巣がんの病勢進行または死亡リスクを 37%低減したと発表した。
 DUO-O試験の中間解析の良好な結果を発表したもの。腫瘍組織における BRCA 遺伝子(tBRCA)変異のない進行性高異型度上皮性卵巣がんと新たに診断された患者を対象とした本試験において、事前に予定されていた中間解析で、リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法群は、化学療法とベバシズマブの併用療法群(対照群)と比較して、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。
 患者は、イミフィンジと化学療法およびベバシズマブとの併用療法後に、維持療法としてイミフィンジ、リムパーザおよびベバシズマブを投与された。
 これらの結果は、6月3 日に、シカゴで開催される2023年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で口頭発表された。
 リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法は、化学療法およびベバシズマブの併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを 37%低下させた(ハザード比(HR)0.63; 95% CI 0.52-0.76; p<0.0001)。
 PFS 中央値は対照群の 19.3 カ月に対し、試験治療群では 24.2カ月であった。患者のうち相同組換え欠損(HRD)陽性のサブグループにおいて、リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法は、化学療法とベバシズマブの併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを 51%低下させた(HR 0.49; 95% CI 0.34-0.69; p<0.0001)。
 PFS 中央値は対照群の 23.0 カ月に対し、試験治療群では 37.3 カ月であった。
HRD 陰性患者さんのサブグループに対する事前に予定された探索的解析では、リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法は、化学療法とベバシズマブの併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを 32%低下させた(HR 0.68; 95% CI 0.54-0.86)。PFS 中央値は対照群の 17.4 カ月に対し、併用療法では 20.9 カ月であった。
 中間解析の時点で、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法を評価する別の治療群においては、PFSの数値的な延長を示したものの統計的な有意差はなかった(HR 0.87; 95% CI 0.73~1.04; p=0.13)。
 事前に予定された中間解析時点では、全生存期間(OS)およびその他の副次評価項目についてはデータが未成熟であった。OS は今後の解析で正式に評価される。
 これらの併用療法の安全性および忍容性は、これまでの臨床試験および個々の医薬品の既知のプロファイルで観察されたものと概ね一貫していた。
 リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法で最も多くみられた有害事象(AE)(患者さんの 20%以上)は、悪心(57%)、貧血(55%)、好中球減少症(51%)、疲労/無力症(49%)、関節痛(34%)、便秘(30%)、下痢(30%)、血小板減少症(28%)、高血圧(26%)、嘔吐(26%)、白血球減少症(24%)、頭痛(22%)、腹痛(21%)および甲状腺機能低下症(20%)であった。
 グレード 3 以上の有害事象は、好中球減少症(31%)、貧血(24%)、白血球減少症(8%)、高血圧(7%)および血小板減少症(6%)であった。
 化学療法中および維持療法期間中に有害事象を経験したリムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法群の患者の約65%がデータカットオフ時点で治療を継続していたのに対し、対照群(化学療法+ベバシズマブ)群の患者さんでは 80%であった。
 なお、進行性高異型度上皮性卵巣がんに対するリムパーザ、イミフィンジおよびベバシズマブの併用療法、またイミフィンジおよびベバシズマブの併用療法は本邦未承認である。

◆同試験国際治験調整医師のPhilipp Harter氏(Evangelische Kliniken Essen-Mitte婦人科および婦人科腫瘍科長)のコメント 進行卵巣がん患者さんに対する一次治療の主な目的は、長期にわたる疾患の管理であるが、依然として多くの患者さんが急速に進行し、転帰不良の状態である。
 DUO-O試験におけるPFS の中間解析データから、tBRCA 遺伝子変異のない患者さんにおいて、化学療法とベバシズマブのみの併用療法と比較して、リムパーザとイミフィンジをさらに追加した併用療法によってさらなる改善を示すエビデンスが得られた。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回の結果は、卵巣がんのアンメットニーズに取り組む我われのコミットメントにおいて重要なマイルストーンとなる。DUO-O試験は、PARP阻害と免疫療法の併用療法の可能性を示しており、私たちは、より完全なデータと主要な副次評価項目の結果に期待している。

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