米国FDA諮問委員会 全会一致でレカネマブの臨床上ベネフィット支持 エーザイ

 エーザイは10日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、米国 FDA 諮問委員会が全会一致で同剤の臨床上のベネフィットを支持したと発表した。
 また、同諮問委員会は、「レカネマブ」の総合的なベネフィット・リスクプロファイルと臨床的意義を支持し、加えて、ApoEε4ホモ接合体保有者、抗凝固剤との併用が必要な症例、脳アミロイド血管症の症例などの特定のサブグループにおける使用についても議論した。
 今回の独立した専門家から構成される同諮問委員会による全会一致の判断は、エーザイの大規模グローバルP3相 Clarity AD 検証試験のデータによる生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)に基づくもの。
 Clarity AD 試験では、18カ月間の試験期間において、「レカネマブ」による治療は、プラセボと比較して、統計学的に高度に有意な認知機能と日常生活機能の悪化抑制を示し(27%、p=0.00005)、事前に設定された主要評価項目を達成した。
 その他、多重性を考慮した認知機能と日常生活機能の変化に関するすべての副次評価項目についても、統計学的に高度に有意な治療効果が認められた。
 「レカネマブ」投与群で最も一般的な有害事象(10%以上)は、Infusion reaction(「レカネマブ」:26.4%、プラセボ:7.4%)、ARIA-H(脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着;「レカネマブ」:17.3%、プラセボ:9.0%)、ARIA-E(浮 腫/浸出;「レカネマブ」:12.6%、プラセボ:1.7%)、頭痛(「LEQEMBI」:11.1%、プラセボ:8.1%)、転倒(「LEQEMB1」:10.4%、プラセボ:9.6%)であった。
 Infusion reaction は大部分が軽度から中等度(グレード1-2:96%)で、その多くは初回投与時に発現した(75%)。
 同試験の結果は、アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表し、同時に査読学術専門誌 the New England Journal of Medicine に掲載された。
 「レカネマブ」は、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化 IgG1モノクローナル抗体である。米国において、「レカネマブ」は、2023 年 1 月 6 日に迅速承認を受け、同 18日に発売を開始した。同迅速承認は、「レカネマブ」がADの特徴である脳内に蓄積したAβプラークの減少効果を示したP2試験結果に基づくものである。同迅速承認の要件として、Clarity AD 試験により、臨床上のベネフィットを検証することが求められている。
 今回、同諮問委員会は、Clarity AD試験において「レカネマブ」の臨床上のベネフィットが検証されたことに全会一致で同意した。
 フル承認申請のPDUFA(Prescription Drug User Fee Act)アクションデートは、2023年7月6日に設定されている。
 レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。

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