アストラゼネカは29日、フォシーガについて、P3相DELIVER試験の2つの新たな解析結果により、心不全(HF)の罹患期間に関わらず、循環器・腎・代謝(CVRM)疾患の様々な併存状態における一貫したベネフィットが裏付けられたと発表した。
同試験結果は、チェコのプラハで開催された欧州心臓病学会の心不全 2023年総会で報告された。
P3相 DELIVER 試験の事前規定された解析として、左室駆出率(LVEF)が 40%超の心不全患者におけるフォシーガの治療効果をHFの罹患期間(6カ月以内、6カ月超~12カ月以内、1年超~2年以内、2 年超~5年以内、および5 年超)別に検討した。
その結果、フォシーガのベネフィットがHFの罹患期間に関わらず一貫していた。
さらに、高齢かつ1つ以上の併存疾患を有し、HF 悪化および死亡率の高い、罹患期間が長期にわたるHF患者において、絶対利益が増加した(治療必要数[NNT]:HF 罹患期間5 年超の患者と6カ月以内の患者さんとの比較で 24:32)。
CVRM 関連の併存疾患の有病率および様々な併存状態でのフォシーガに対する被験者の反応を評価したP3相DELIVER 試験の事後解析結果も発表され、同時にJACC Heart Failureに掲載された。
同解析結果によると、LVEFが40%超のHF患者では、5名中4 名以上の割合で他のCVRM疾患を少なくとも1つ併発しており、5名中1名の割合でHFに加えて3つのCVRM疾患を併発してた。
フォシーガは、忍容性が良好であり、その治療ベネフィットはCVRM疾患の併存状態に関係なく一貫していた。
心不全は慢性かつ長期的な疾患であり、時間の経過とともに悪化する。また、心不全患者さんの約半数は診断後5年以内に亡くなる。さらに、関連する他のCVRM 疾患を合併することが多く、管理が一層困難になる。
慢性腎臓病(CKD)患者5 人のうち最大1人が心不全を発症し、心血管系(CV)併存疾患のなかで最もよくみられる。
これらの知見は、以前に報告されたP3相DELIVER 試験およびP3相DAPA-HF 試験の結果に基づいている。これらの試験は、HF 患者に対する基礎治療薬としてフォシーガの使用を支持するエビデンスを提供し、駆出率(EF)に関わらず死亡率の低下を示す唯一の心不全治療薬としてフォシーガを確立している。
P3相DELIVER試験におけるフォシーガの安全性および忍容性プロファイルは、これまでに十分確立されているフォシーガの安全性プロファイルと一致した。
◆P3相DELIVER試験主任治験責任医師のScott Solomon氏(ハーバード大学医学部およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院内科学教授)のコメント
現在の診療では、罹患期間が長期にわたる心不全患者さんは、新しい治療を追加しても反応しない、または忍容性が低い進行性疾患に罹患しているとみなされる可能性がある。
P3相DELIVER試験のデータは、SGLT2 阻害剤であるフォシーガによる治療ベネフィットは心不全の罹患期間にかかわらず一貫しており、患者さんにとって治療が決して遅すぎることがないことを示している。
このデータは、心不全におけるダパグリフロジンの有効性に関するエビデンスの拡大を裏付け、ダパグリフロジンが、新たに診断された患者さんと同じように長期に罹患している患者さんに対しても役立つことを実証している。
◆Ruud Dobberアストラゼネカバイオ医薬品事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
CVRM 疾患が患者さんそして社会に及ぼす影響は計り知れない。だが、これらの患者さんに対する診断、治療は不十分であり、CVRM疾患における相互関係も十分に認識されていない。P3相DELIVER試験の結果から、心不全患者さんが2型糖尿病や慢性腎臓病といった他のCVRM疾患を併発していることがいかに一般的であるかが浮き彫りとなった。
今回発表された新たな解析は、あらゆる心腎疾患に対してベネフィットをもたらす、フォシーガの価値をさらに示しており、心不全や他のCVRM疾患を有する何百万人もの患者さんの治療を根本的に変えるという私たちのコミットメントを強調している。