疾患認知の低さや婦人科受診への抵抗感が診断の遅れの一因として示唆 アストラゼネカが卵巣がん患者意識調査

 アストラゼネカは24日、卵巣がんに関する WEB アンケート調査結果を公表した。同アンケートは、卵巣がん患者のペイシェントジャーニーにおけるアンメットニーズの把握を目的としたもの。過去10年以内に卵巣がんと診断された 20代以上の卵巣がん患者119名を対象に、2022年9月20 日~9月25日までの期間Web アンケート形式で実施された。
 同調査により、卵巣がんの早期診断に向けた課題、再発が患者さんに与える精神的負担の大きさに加えて、治療による見た目の変化が卵巣がん患者の日常生活に与える影響の大きさが明らかになった。
 卵巣がんは、一般的な婦人科がんの一つで、日本においては毎年約1万3000 人が新たに診断されている。予後が不良で、50~70%の患者が 5 年以内に亡くなる死亡率の高いがんである2。
 初期の卵巣がんは自覚症状が表れにくく、診断された時には既にがんが進行していることも少なくない。乳がんや子宮頸がんは早期発見に繋がる検診が確立しているのに対し、卵巣がんは有効な検診が確立していないことも、早期発見を難しくしている要因と考えられている。
 同調査から、卵巣がんの診断に繋がった受診のきっかけとして、「お腹がはる、痛みなどの症状がでた」(45%)、「健康診断で異常が見つかった」(23%)、「婦人科系疾患の経過観察中に異常が見つかった」(19%)となっており、受診のきっかけとなった主な症状は、「おなかが張る」(54%)、「下腹部の痛み」(50%)、「トイレが近い」(33%)といった日常生活に多くみられる症状が挙げられた。

医療機関を受診したきっかけ

 何らかの自覚症状または健康診断で異常が見つかってから婦人科を受診するまでの期間としては、64%が半月以上かかったと回答。その理由は、「卵巣がんの知識が無く、婦人科を受診する考えに至らなかった」(37%)が最も多く、「婦人科を受診した経験が少なく、抵抗があった」(22%)、「内診を受けるのに抵抗があった」(13%)と、婦人科受診への抵抗を示す回答もみられた。このような結果から、多くの患者さんが自覚症状を生じた後も、受診/診断を先延ばしにしてしまっていたことが伺える。

何らかの異常が見つかったもしくは自覚症状が生じてから婦人科受診するまでの期間
婦人科を受診するまでに半月以上かかった理由

 また、卵巣がんの知識において、診断前との知識量の差や知識を持つことのメリットに関する質問では、全体の90%が「診断前と現在で知識量に差がある(かなり差がある/差がある/少し差がある)」と回答。診断前に卵巣がんについてより多くの知識を持っていたとしたら、「もっと早い受診につながる」あるいは「医師の説明をより理解できる」と感じた方がいずれも49%と最も多く挙げられた。
 これらの結果から、一般女性における卵巣がんの認知度を高めることで卵巣がんの早期診断に寄与することが期待できるとともに、診断前から疾患に関する知識の取得により卵巣がん治療に対する理解をより深めることにもつながる可能性が示唆された。

卵巣がんの知識:診断前との知識量の差/知識を持つことのメリット

 再発を告知された時の気持ちとしては、「もう治らないかも知れないと感じて卵巣がんの診断を受けたとき以上にショックだった」と、がんの診断を受けた時よりもショックが大きかったと回答した人が44%おり、再発が患者に与える精神的な負担の大きさが示唆された。

再発を告知された時の気持ち

 がんになって日常生活に生じた変化としては、「治療の影響(脱毛など)から、お洒落を楽しめなくなった」と回答した人が最も多く(31%)、次いで「仕事が以前のようにできなくなった」(25%)、「外出するのが億劫になった」(25%)といった回答が挙げられ、患者が外見の変化に対応し、社会生活を送りやすくなるための支援であるアピアランスケアの重要性が示唆された。

がんになったことによる日常生活の変化

 なお、アストラゼネカでは、疾患啓発を目的に、Web サイト「卵巣がん.jp」および「わかる卵巣がん」LINE アカウントを通じて患者やその家族および一般向けに情報を発信している。
 
◆森田慎一郎アストラゼネカ執行役員オンコロジー事業本部事業本部長のコメント
 調査結果から、卵巣がんの知識が無かったことや、婦人科受診に対する抵抗感が、診断の遅れに繋がっていることが示唆された。
 また、再発を経験した患者さんにおいて、卵巣がん患者さんの44%ががんの診断を受けた時以上に再発時のショックが大きかったと回答したことからも、患者さんの早期診断及び早期治療を目指すべく、疾患啓発活動及び治療に関する適切な情報提供にさらに注力しいく。

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