アッヴィは11日、atogepantについて米国FDAが成人の片頭痛予防薬としての適応拡大を承認したと発表した。同承認によりatogepantは、反復性および慢性の片頭痛予防薬として承認された最初で唯一の経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬となった。
慢性片頭痛は、1カ月に15日以上頭痛を発症し、そのうち8日以上は片頭痛に関連するものである。
慢性片頭痛に対するatogepantの適応拡大は、慢性片頭痛の成人患者を対象にatogepant 60 mg 1日1回投与を評価したピボタルP3I相PROGRESS試験に基づくもの。同試験では、主要評価項目である12週間の投与期間を通した平均月間片頭痛日数がプラセボ群と比較してベースラインから統計学的に有意に減少した。同試験のベースライン時の平均月間片頭痛日数は19日であった。
また、同試験ではatogepantの投与により、6つの副次評価項目もすべて統計学的に有意に改善した。この中には、主な副次評価項目である12週間の投与期間の平均月間片頭痛日数が50%以上減少した患者割合や、生活機能改善および片頭痛による活動障害の軽減などが含まれている。
これらの有効性の結果は、反復性片頭痛を対象としたADVANCE試験の結果と一致するものであった。
atogepantは、1日1回の投与でCGRPをブロックし、反復性片頭痛の予防には3種類の用量(10 mg、30 mg、60 mg)を使用できる。慢性片頭痛の予防に適応があるのはatogepant 60 mgの用量のみ。
atogepantの全体的な安全性プロファイルは反復性片頭痛の患者と同様であり、最も高頻度に認められている有害事象は便秘、悪心、疲労/眠気などである。
◆Roopal Thakkarアッヴィsenior vice president, chief medical officerのコメント
2021年9月以来、atogepantは反復性片頭痛患者さんの片頭痛発作を予防し、片頭痛による日常生活の負担軽減に貢献してきた。今後は、最も治療が困難とされている慢性片頭痛の患者さんにもatogepantを使用できるようになり、片頭痛の発作日数を大幅に減らせると考えている。
当社の主力製品であり慢性片頭痛予防薬として最初にFDAに承認されたonabotulinumtoxinA、片頭痛発作の急性期治療薬ubrogepantに加え、反復性片頭痛と慢性片頭痛の両方に対する予防薬としてatogepantが今回承認されたことで、アッヴィはさまざまな片頭痛に対応でき得る3種類の治療薬を開発した唯一の企業になった。
◆Peter McAllisterニューイングランド神経・頭痛研究所所長(M.D)のコメント
今回のFDAによる承認は重要な節目となるものである。片頭痛で最も大きな影響を受けている患者さんに、新たに安全で効果的な治療選択肢を1日1回の錠剤内服という簡便な方法で提供できることになった。
atogepantは、生活機能の改善をもたらすことで片頭痛の負担を軽減し、治療反応率も高く、かつ12週間にわたって効果が持続したことがデータで示されている。
これらは神経科医や頭痛専門医が治療薬を選択し、処方する際に考慮する重要な要素であり、特に慢性片頭痛の患者さんの場合は重視されている。