リムパーザ、アビラテロン併用療法 ODACが適応症をBRCAmに限定すべきと評価 アストラゼネカ

 アストラゼネカは12日、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)治療薬として開発中のリムパーザとアビラテロン併用療法について、FDA抗がん剤諮問委員会(ODAC)は、適応症をBRCAm(BRCA遺伝子変異陽性の患者)に限定すべきと評価したと発表した。
 同評価は、BRCAmのmCRPCに対する治療薬としての良好なベネフィット・リスクプロファイルは認めつつ、11対1(棄権1)で成されたもの。
 ODACは、がん治療に使用される市販薬および治験薬に関して、専門的助言および勧告をFDAに行う独立した委員会で、リムパーザは、アストラゼネカと MSD により共同で開発、商業化が行われている。
 FDAは、2022年8月、NEJM Evidence誌に掲載されたP3相PROpel試験の良好な結果に基づき、優先審査によるリムパーザの追加承認申請(sNDA)を受理した。
 FDAは、ODACによるガイダンスに必ずしも従わなければならないというわけではないが、そのガイダンスを考慮に入れて承認等の判断を行う。アストラゼネカとMSDは、引き続き申請審査の完了に向けてFDAと協力していく。
 リムパーザとアビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用療法は、PROpel試験の結果に基づき、mCRPCの成人患者の治療薬として、EUおよび他の数カ国で承認されている。本邦における、mCRPCのアビラテロンとの併用療法におけるリムパーザの適応およびprednisoneは未承認である。

◆PROpel試験の治験責任医師であるNeal Shore氏(米国・Genesis Care泌尿器科および腫瘍外科学のチーフメディカルオフィサー)のコメント
 今回のODACによる勧告は、前立腺がん患者さんおよび臨床医にとって残念なニュースであると感じている。画像診断に基づく進行の予防または遅延は、がん治療を評価する上で重要な臨床的評価項目であり、患者さん、その介護者およびご家族にとっても非常に関心ある事項である。
 がん治療の成果を最適化することを目標に、医師と患者さんが治療選択する機会を持つことは不可欠である。

◆Susan Galbraithアストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&D責任者のコメント
 mCRPC 患者さんには、新たな治療選択肢が早急に必要である。リムパーザとアビラテロンの併用療法のBRCA遺伝子変異陽性の患者さんに対する有効性について評価されたことは喜ばしいが、今回の ODAC の結論は残念に思う。
 バイオマーカーの状態に関わらない mCRPCの幅広い患者集団に対する本併用療法の臨床的に意義のあるベネフィットが示された PROpel 試験結果を我々は強く信じている。

◆Eliav Barr MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者・チーフメディカルオフィサーのコメント
 前立腺がんの発現率と死亡率は、今後数十年で倍増すると見込まれている。前立腺がんにおいては、患者の疾患進行や死亡のリスクを軽減し得る新たな治療オプションを出来るだけ早期の段階で投与することが重要である。
 ODACによってBRCA遺伝子変異を有するmCRPC 患者さんへのリムパーザの推奨は喜ばしいが、PROpel 試験の結果から、幅広い mCRPC の幅広い患者さんに対するリムパーザとアビラテロンの併用療法の可能性を信じている。今後の FDA による申請審査の結果に期待している。

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