セフィデロコル 国際観察研究で最も治療困難なグラム陰性菌感染症での有効性確認 塩野義製薬

 塩野義製薬は17日、新規シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬「セフィデロコル」について、後ろ向き観察研究の中間解析において大部分が合併症を伴う重症患者の緑膿菌感染症患者およびアシネトバクター感染症患者に対して、それぞれ65%および60%の臨床的治癒を確認したと発表した。
 これらの最も治療が困難とされるグラム陰性菌感染症に対する有効性を評価した新規リアルワールドエビデンスは、15~18日にデンマーク コペンハーゲンで開催中の第33回 欧州臨床微生物学感染症学会議(ECCMID)で発表される。
 今回発表されるPROVE(Retrospective Cefiderocol Chart Review)研究は、実臨床でのグラム陰性菌感染症入院患者に対するセフィデロコルの有効性と安全性の評価を目的に実施中の国際的な後ろ向き観察研究である。
 同研究では、セフィデロコルを投与された緑膿菌感染症患者194人(米国123人、欧州71人)のうち、191名に対して評価が行われた。
 評価に供された患者には呼吸器感染や血流感染の割合が多く、基本的には重篤な患者であり、その多くは人工呼吸器や昇圧剤の投与を必要としていた。大半の患者(77%)において、セフィデロコルは病原体を確認の上で投与され、57%の患者はセフィデロコル単剤での治療が行われた。
 これらの患者背景の下で実施された中間解析において、セフィデロコルは緑膿菌感染症患者の65%で臨床的治癒を達成し、81%の患者がセフィデロコルによる治療開始後30日時点において生存した。
 また、同研究にはアシネトバクター感染症の患者98人(米国71人、欧州27人)も含まれ、そのうち96人に対して評価が行われた。最も共通して見られたのは、呼吸器感染症および菌血症であった。
 これらの患者には高レベルの臓器サポートが必要であり、45%が人工呼吸器治療を受け、30%が昇圧剤の投与を必要としていた。患者の93%でセフィデロコルは初回治療または救急治療として投与され、41%の患者で単剤での治療が行われた。
 セフィデロコルは、アシネトバクター感染症患者の60%で臨床的治癒を達成し、76%の患者が治療開始から30日時点において生存した。
 セフィデロコルは、欧米において承認を取得し、欧州においてはFetcrojaの製品名で、米国ではFetrojaの製品名でそれぞれ販売されている。日本および台湾においても承認申請済みで、現在規制当局による審査が行われている。
 また、多くの低中所得国、高中所得国で本新規抗菌薬を必要とする患者へのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約を通じて準備を進めている。

◆Dominic Wichmann教授ハンブルク・エッペンドルフ大学集中治療医学科コンサルタント)のコメント
 PROVE研究より得られた今回の中間解析結果は、欧州および米国において蓄積されたリアルワールドデータに基づき構築されたものである。セフィデロコルは、アシネトバクターや緑膿菌などの生命を脅かす感染症に罹患し、その大半が複数の併存疾患を有する重篤な患者の治療における有効性を示した。
 これら病原体は、世界保健機関(WHO)の最優先リストに分類されるものであり、効果的な治療法が早急に必要とされている。

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