うつ病検出・重症度評価支援プログラム「SWIFT」 厚労省初のプログラム医療機器優先審査に指定 慶應大学・住友ファーマ

 慶應大学と住友ファーマは10日、「うつ病検出・重症度評価支援プログラム「SWIFT」が、厚労省による初めてのプログラム医療機器(SaMD)の優先審査対象品目に指定されたと発表した。
 同プログラムは、慶應大学医学部の岸本泰士郎特任教授の研究グループ、住友ファーマおよびi2medical合同会社(開発責任者:Kuo-ching Liang)が3者共同で実用化に向けて取り組んでいるもの。
 同品は、リストバンド型のウェアラブルデバイスから収集される患者の生体活動および生体データを解析。精神疾患の世界的診断基準である「精神疾患の診断・統計の手引き第5版」(DSM-5)で定義される抑うつエピソードを満たすか否かの推定結果を出力するとともに、ハミルトンうつ病評価尺度の推定点数を出力することで、うつ病または双極性障害の抑うつエピソードの検出および重症度評価を支援するシステムである。医師が診断する際に判断材料となる情報を提供する医療機器を目指して開発を進めている。
 近年、人工知能技術等のデジタル技術を活用したプログラム医療機器の開発が世界的な潮流となっている。だが、日本における開発・実用化は遅れをとっている現状から、産学官が連携して速やかに開発を行えるような仕組みが望まれていた。
 今回、2023年3月29日付けで、同品が初の「プログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目」に指定された。同制度は、プログラム医療機器実用化促進のため、画期性や有用性などの要件を満たしたプログラム医療機器(SaMD)を優先的に審査するもので、厚生労働省が昨年 9 月に開始した制度である。
 この指定により、本品の承認審査において優先相談、事前評価の充実、優先審査やコンシェルジュがおかれるといった他の品目よりも優先した取り扱いを受ける。
 同研究開発では、慶應義塾大学医学部が多くの精神科病院、診療所と協力して精緻な臨床データを収集、i2medical 社が抑うつエピソードの有無の判定や重症度推定を行うための最適な機械学習アルゴリズムの構築を、住友ファーマがシステム開発、臨床開発、薬事申請準備および事業化検討を担当している。
 同研究チームは、現在実施中の臨床研究を加速し、十分量のデータを蓄積するとともに、推定精度を向上させ、3 年以内の治験開始を目指している。 
なお、同研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)医工連携・人工知能実装研究事業「リストバンド型ウェアラブルデバイスデータを用いてうつ病スクリーニングおよび重症度評価を可能とするソフトウェア医療機器の開発」の支援を受けている。

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