参天製薬は27日、開発中の眼科用クリームSTN1011402について、 同日付で国内での製造販売承認申請を行ったと発表した。STN1011402は、1日1回眼周囲(上下眼瞼)に塗布するアレルギー性結膜炎治療薬で、エピナスチン塩酸塩を0.5%含有している。
アレルギー性結膜炎の治療においては、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の点眼薬が多く使われているが、それらは1日2回又は4回の点眼が必要である。1日1回塗布の同製剤は、患者の日中点眼の負担を解消することができ、塗布する際には直接投与部位に触れるため、小児など自身での点眼動作が難しく、介助が必要な患者にも扱いやすい剤形である。
点眼薬を中心とするアレルギー性結膜炎治療に、眼科用クリームという新たな剤形の選択肢を提供できる可能性がある。
同製剤の有効成分であるエピナスチン塩酸塩は、1975年にベーリンガーインゲルハイム社により創製され、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、さらに肥満細胞からの化学伝達物質の遊離抑制作用を有している。
同製剤の有効性は、国内で実施した臨床試験でアレルギー性結膜炎の主症状である眼そう痒感および結膜充血を抑制することが確認されている。また、重篤な副作用は眼局所、全身ともに認められていない。
アレルギー性結膜炎は、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす疾患である。2017年の日本眼科アレルギー研究会(現、日本眼科アレルギー学会)が実施した有病率調査によれば、国内のアレルギー性結膜疾患の有病率は 48.7%1 で、有病率は近年増加している。
◆ピーター・サルスティグ参天製薬チーフメディカル オフィサーのコメント
アレルギー性結膜炎にはいくつか種類があるが、特に日本ではスギ花粉を代表とする花粉の大量飛散時期に季節性アレルギー性結膜炎を発症する患者さんが多く存在する。
強い眼そう痒感や充血の結膜炎症状により、QOLの低下などに悩まされている。眼周囲(上下眼瞼)に薬剤を塗布する剤形のアレルギー性結膜炎治療薬は世界初であり、この開発を通じて画期的な治療方法の可能性を追求できることを大変嬉しく思う。