バリキサドライシロップ 国内で症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の適応追加 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬(代表取締役:上野裕明氏)は27日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「バリキサドライシロップについて、同日、症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の適応追加承認を取得したと発表した。
 今回の承認は、日本医療研究開発機構(AMED)の成育疾患克服等総合研究事業「症候性先天性サイトメガロウイルス感染症を対象としたバルガンシクロビル治療の開発研究」の支援を受け、6医療機関(東京大学医学部附属病院、日本大学医学部附属板橋病院、名古屋大学医学部附属病院、藤田医科大学病院、神戸大学医学部附属病院、長崎大学病院)の研究グループによって実施された症候性先天性サイトメガロウイルス感染児を対象とした医師主導治験(VGCV-1)の成績に基づくもの。
 同治験において、バリキサドライシロップを6カ月間投与することにより全血中のサイトメガロウイルス量は減少し、聴力障害の悪化抑制効果が示された。症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の治療薬として世界で初めての承認であり、患者に新たな治療の選択肢を提供できるものと期待される。
 症候性先天性サイトメガロウイルス感染症は、サイトメガロウイルスが妊婦の胎盤を経由し胎児に感染して発症する疾患で、国内において年間1700人程度が発症する希少疾病である。症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の新生児は、出生時に中枢神経障害や難聴等の症状を示し、その後、精神発達遅滞などの神経学的後遺症を残す割合が多く、成長や発達を損なわせることが問題になっている。
 国内外において、症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の治療薬は存在しておらず、早期に治療法の確立が望まれていた。
 バリキサドライシロップは、日本において、2018年に製造販売承認を取得し、「後天性免疫不全症候群」「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)」「悪性腫瘍」でのサイトメガロウイルス感染症の治療薬、「臓器移植(造血幹細胞移植を除く)」におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制薬として販売している。
 また、症候性先天性サイトメガロウイルス感染症に対する希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)の指定を受けている。
 田辺三菱製薬は、希少疾病を含めたアンメットメディカルニーズの高い疾患に対し、新たな治療選択肢を提供できるように今後も研究開発を進めていく。

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